はじめに
木造の床は、基礎・土台・大引・根太・(捨て張り)・フローリング等の仕上げ材から構成されています。
それぞれに複数の種類がありますので、順に見ていきましょう。
本記事ではリノベーションすることを想定してそれぞれの採用方法も紹介していきます。
基礎
基礎の種類
基礎は下記の種類があります。
独立基礎
デッキや独立柱などを支えるための基礎です。
布基礎
床を支えるための基礎です。
地耐力が30kn/㎡以上の地盤で使用します。
ベタ基礎
床を支えるための基礎です。
地耐力が20kn/㎡以上の地盤で使用します。
杭基礎
床を支えるための基礎。
地耐力が20kn/㎡未満の地盤で使用します。
ローソク基礎
地盤が深いところにあり、布基礎では地盤に届かない際に、柱の下に採用します。
いかだ基礎
軟弱地盤でベタ基礎を作る際に使用されることがあります。
※併用基礎、異種基礎は原則として禁止されています。
基礎の作り方
リノベーションの場合、基礎はそのまま使用することが多いと思いますが、新たに基礎を作る場所では下記を注意しましょう。
床下換気口
床下には床下換気口の設置が義務づけられています。
4mにつき1カ所以上の設置が必要です。床下換気口にはネズミや虫が入ってこないように、スクリーンを取り付ける必要があります。
基礎パッキン
床下換気口を設置すると、その周辺からひびが入ることがあるため、その防止のために基礎パッキンを設置する。
基礎のひび割れ補修
基礎をそのまま使用する場合、基礎の補修を行う必要がある場合があります。
既存の
コンクリート部分にひび割れを発見した場合、軽微なものであれば自分で対処できますので、その方法を見ていきましょう。
ひび割れシーリング工法
シーリングの詳細については以前の記事
「正しい材料で正しく施工!実は沢山あるコーキング材の種類」で詳しく解説しています。
よく洗浄し、
ひび割れ被覆工法
ひび割れ被覆工法の手順は下記の通りです。
上記はあくまで軽微なものの対処法です
コンクリートひび割れは、コンクリートを打ち直す必要があります。基礎の状態をきちんと確認し、施工を行いましょう。
土台の作り方
束石の設置
束石はモルタルで固定します。
ざっくり言うと
- 材料:束石(ピンコロ)
- サイズ:200〜250
- 間隔:910ピッチ
束の設置
束石に束をたてます。
この時点である程度レベルを合わせます。
ざっくり言うと
- 材料:桧(ひのき)、栂(つが)など
- 太さ:90角〜120角
- 間隔:910ピッチ
大引・土台の作り方
リノベーションの場合、腐っていたり、材料が要件を満たしていない(古い家の場合、細い材料を使用しているケースがあります。)場合、
土台と大引を固定します。
この時、レベルはしっかりと合わせておきましょう。
根太を敷く時に合わせることもできますが、大引の時点でしっかりレベルが合っていると、この後の作業が楽になります。
ざっくり言うと
- 木の種類:桧(ひのき)、栂(つが)など
- 木材:防腐剤が望ましい
- 太さ:105角〜120角
- 大引間隔:910ピッチ
根太の作り方
根太をを設置します。
ここで最後の微調整をします。ミリ単位でレベルを合わせましょう。
根太の材料
ざっくり言うと
- 木の種類:ベイツガ、ベイマツなど
- 太さ:36×45、45×45など
- 間隔:303ピッチ
- 備考:重いもの(ピアノ)を置くことが決まっている場所は間隔を狭くしておきます。
ベニヤ張り
ベニヤの「捨て張り(下張り)」を行います。
「根太張り」を行う場合は、ベニヤ板を貼る必要はありません。
捨て張りと根太貼りの詳細についてはマンション編で解説しています。
床の仕上げ材の種類
1.フローリング
単層フローリング、
複合フローリングの2種類があります。
単層フローリングとは、
無垢フローリングのことです。
複合フローリングは、
合板に薄く挽いた木材を貼ったものです。
複合フローリングは反りがなく
施工しやすく、
安価です。ただし、ものによっては、
単層フローリングよりも
安っぽく見えてしまうものもあります。
単層フローリング
それぞれの
木の柔らかさは左記の通りです。
柔らかい材料は
歩行性が良く、
足腰への負担が少ないという特徴があります。しかし、柔らかい
杉などの材料は、大変傷つきやすいため、
施工後は養生をしっかりし、その
フローリングの上に直接物を置かない、
作業をしない、など注意することが必要です。
また、住んでいるうちに傷ついてしまうことは避けられないため、
賃貸物件等には向かないでしょう。
また、
床暖房を設置する際には、
床暖房対応のフローリング材を使用する必要があります。
フローリングの張り方
フローリングの張り方には大きく下記4種類があります。
デザインに合わせた張り方を行いましょう。
定尺張り
乱尺張り
市松貼り
ヘリンボーン張り
施工の際は、
床鳴りを防ぐため、
壁との間に
5mm程度隙間をあけ、
巾木(はばき)を入れましょう。
2.タイル
タイルの張り方
タイルの張り方には大きく下記4種類があります。
デザインに合わせた張り方を行いましょう。
馬のり張り
横芋張り
縦芋張り
接着の方法にも様々な工法がありますので、タイル購入時にそのタイルと施工する下地に合った接着剤を購入し、使用するようにしましょう。
また、目地の入れ具合にも、
平目地、
沈み目地、
深目地がありますので、デザインにあった目地入れを行ってください。
3.畳
畳には下記の種類があります。
本畳
スタイロ畳
縁無し畳
置き畳
琉球畳
畳の敷き方にも「祝儀敷き」と「不祝儀敷き」があり、その場所の用途に合った敷きかたが必要です。
4.クッションフロア
クッションフロアは主に
水回りに使用します。ものによっては、とても
安っぽく見えるケースがありますので、サンプルを取り寄せるなど、
注意して購入するようにしましょう。
5.プラスチックタイル(フロアタイル)
クッションフロアの
固いものです。
クッションフロアは1枚のシートを切って貼っていきますが、
プラスチックタイルはタイルのようなサイズのものを1枚ずつ施工していきます。
6.その他
竹や籐を使用した新素材のフローリングやクッションフロアもあります。上記の1〜5に種類にとらわれずに、色々見てみると楽しいですよ。
見切り
同じ面の中で複数の仕上げ材を使用したい時、見切りを入れることで楽に施工することができます。
最後に
実際に床を作っていく様子は、「廃墟でDIY始めました。1F床編」でレポートしています。
是非みなさんも、床作りに挑戦してみてください。
執筆者
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一人親方として大工仕事を行う傍ら、廃墟を購入し住み込んで理想の家を作るなどしている。