はじめに
ホームセンターでも販売されている
シーリング材(以下コーキング材)。
コークガンひとつあれば、気軽に使用することが可能です。でも、実は
コーキング材には、様々な種類があることをご存知ですか?
正しく種類と性能を理解し、
正しく施工できるようにしましょう。
正しいコーキング材の施工方法
まず最初に、正しいコーキング材の施工方法をご説明します。
1.マスキングを行います。
マスキングを行う際のポイントは、
できるだけ1枚のマスキングテープで、切らずに養生していくことです。
マスキングテープは、手では真っすぐ切るのが難しいため、
端まで綺麗にマスキングするには、
折り返しながらマスキングしていきます。初心者で上手くできない場合は、
業務用カッターで折り目をつけながら折り返していくと上手くマスキングできます。
また、
シリコンは、
一度付けてしまうと取るのに手間がかかるため、腕に自信が無い場合には面倒がらずに、
マスキングのみならず
全体に養生を行うようにしましょう。
2.コーキング材(今回はシリコン)を入れます。
コークガン(コーキングガン)を使用し、
シリコンを入れます。
3.ヘラ仕上げを行います。
ヘラならしを行い、
シリコンを仕上げます。
ヘラならしは、シリコンを入れたら1〜2回で行います。
時間をおいて触ってしまうと、仕上げが汚くなるので、一度仕上げたら、もう触らず、養生をしておくようにしましょう。
3.シリコンが乾く前にマスキングを外します。
注意事項
施工から
時間が経っている場合は、
清掃を行ってから作業を行う必要があります。
汚れを取るには
トルオールやノルマンヘキサンを使用します。
また、材料によっては、
バックアップ材やボンドブレーカーの装填が必要です。
こんなに沢山ある!シリコンの種類
シーリング材の種類を、硬化タイプ別に分けて列挙すると下記のようになります。
1成分形
1つの成分から成り、すぐ施工できる状態のもののことを言います。
湿気硬化タイプ
シリコーン系
変成シリコーン系
ポリサルファイド系
ポリウレタン系
酸素硬化
シーリング系
乾燥硬化(エマルジョンタイプ)
アクリル系
SBR系
乾燥硬化(溶剤タイプ)
ブチルゴム系
非硬化
シリコーン系マスチック
油性コーキング材
2成分形
2つの成分から成り、施工の直前に混ぜて使用します。1成分形に比べると非常に
安価ですが、
材料の配分間違いや
撹拌不足により上手く固まらない場合ことなどがあるため、初心者にはお勧めしません。
混合反応硬化
シリコーン系
変成シリコーン系
ポリサルファイド系
アクリルウレタン系
ポリウレタン系
使い分けよう!コーキング材の種類
ここでは、上記のコーキング材は、
どのような場所にどのコーキング材が適しているのかを解説します。
水回りのコーキング
水回りの場合は、下記の材料が適していますが、その中でも特に「防カビ」タイプを選択しましょう。
① シリコーン系シーリング
キッチンのような耐熱性を要求される場合には
「シリコーン系シーリング」が最適です。ただし、シーリングは汚れ易いので注意が必要です。また、
上から塗料を塗ることはできません。どうしても塗料を塗る必要がある場合は、ノンブリードタイプを使用するか、逆プライマーを塗布する必要があります。
② 変成シリコーン系シーリング材
①シリコーン系シーリングほどではありませんが、
耐熱性があります。また、
柔軟性が非常に高い特徴があり、シリコーン系シーリングよりも
汚れにくい特徴があります。キッチン周りでも汚れ易い場所や、金属のように動きが大きい素材の際はこちらを使用するようにしましょう。また、こちらは施工後に
塗装が可能です。尚、タイル目地と一番区別がつきにくい仕上がりになるのはこのタイプです。
③ シリコーン系マスチック
市場にはあまり出回っていません。特徴としては、
プライマーを使用せず、使用が可能です。
耐熱性はありませんが、
非硬化タイプのため、施工したらすぐに
強度を発揮できます。
ガラスのコーキング
前述の
①シリコーン系シーリング、または
③シリコーン系マスチックが適しています。基本は
①シリコーン系シーリングで施工でしょう。
屋上・屋根のコーキング
①シリコーン系シーリング、 ②変形シリコーン系シーリング材、③シリコーン系マスチックのほか、下記も使用可能です。
④ ポリサルファイド系シーリング材
汚れに強く、
油に強い特性があります。また、
①シリコーン系シーリング、 ②変形シリコーン系シーリングには劣りますが、
耐熱性があります。写真は
2成分型ですが、
1成分型もあります。
ポリサルファイド系シーリングだと
柔軟性がありませんが
⑤ 変成ポリサルファイド系シーリング材を使用すれば、大判の金属部分等への施工も可能です。ただし、
価格が高いため、ダクトのような耐油性を要する箇所に使用するようにしましょう。
⑥ブチルゴム系シーリング材
硬化しても
シンナーで拭き取る事ができるため、初心者でも使用し易い材料です。
柔軟性がなく、硬化後、体積が減るので
やせるため注意が必要です。
⑦ 油性コーキング材
気候の変化には弱いのですが、コーキング材の中で最も古くから使用されていたため、現在も古い家の屋上等で使用されており、主に補修の際等に使用します。プライマーは塗布しなくても付着します。
外装パネルのコーキング
前述した、
①シリコーン系シーリング、②変形シリコーン系シーリング材、③シリコーン系マスチック、④ポリサルファイド系シーリング材、⑤変成ポリサルファイド系シーリング材が使用できます。また、
⑧アクリルウレタン系シーリング材も使用可能です。
⑧ アクリルウレタン系シーリング材
ほとんど汚れず、やせにくい材料です。
ポリウレタン系シーリングの
耐久性を高めたものです。ただし、
施工不良が起きやすく、施工時の
気温や
温度に注意が必要です。
コンクリート壁のコーキング
下記が使用可能です。
②変形シリコーン系シーリング材
④ポリサルファイド系シーリング材
⑤変成ポリサルファイド系シーリング材
⑦油性コーキング材
⑧アクリルウレタン系シーリング材
金属製建具のコーキング
下記が使用可能です。
①シリコーン系シーリング
②変形シリコーン系シーリング材
③シリコーン系マスチック
④ポリサルファイド系シーリング材
⑧アクリルウレタン系シーリング材
注意事項
本記事は筆者が信頼できる複数のメーカーサイトを比較し、共通する内容を抽出し、科学的根拠も交えてまとめたものです。(1種類につき3商品以上を比較しています。)
しかし、商品によっては性質が異なる可能性がありますので、発注・施工前には商品の施工説明書等をよくご確認いただきますようお願い致します。
最後に
古い大工の中には、コーキング材は全て同じだと思っている方もいるくらいややこしい
コーキング材。
防水のように重要な場所への施工だからこそ、
きちんと理解して、適切な箇所に適切な施工を行いたいものです。
執筆者
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一人親方として大工仕事を行う傍ら、廃墟を購入し住み込んで理想の家を作るなどしている。