1.はじめに
このコラムは、筆者が
廃墟を購入し、
1人で理想の家にリノベーションする様子を記録したものです。
現在進行形で、
仕事の合間に作業しており、随時更新予定です。
作り方も含めて連載していきますので、皆さんの理想の家作りのお役に建てれば幸いです。
2.問題点
廃墟は長い間、人が住んでいなかったので、
問題は山積みです。
問題1:50段の階段の上の物件
階段上の物件は、作業し始めるまでも大変です。
材料運びだけで丸一日かかる日もあります。
でも、その代わり、
2階の窓からは海と島が見えます。高台なので、空も広く、気持ちのいい風が吹き抜けます。
問題点2:かなり補修が必要
柱は腐り、床も抜けていたり、配水管が破損し、漏水していたりするので、かなり補修が必要です。
問題点3:全くお洒落とは言えないデザイン
前の住人の持ち物も残っており、古民家とも言えない、
「ただの古い家」状態です。この家を
「古くて素敵な家」に作り替えていこうと考えています。
3.廃墟再生のルール
廃墟再生にあたり、下記のルールを決めました。
ルール1:資格が必要な箇所は専門業者に依頼する
大工や左官、タイル等の基本の家作りは全て自分で行います。
ただし、
電気工事と
水道工事は資格が必要なため、専門業者に依頼します。
ルール2:構造に関わる部分は依頼する
構造に関わる重要な部分は、ベテランの大工に作業を依頼します。
ルール3:リノベーション予算は300万円以内とする
専門業者への支払い、材料費の合計は300万円以内とします。
※道具代は含む、私の人工は経費に含めないものとします。
ルール4:人に貸せる状態にする
「自分で住む」ことを想定すると、作りが甘くなりかねないため、あくまで
人に貸せる状態の構造・デザインを目指します。
4.間取り図(1階)
購入時
おおよその間取り図は下記の通りです。
完成時
壁で非常に圧迫感があるため、壁を取払います。
5.解体(リビング)
この方向から見た
解体の様子を写真でご紹介します。
BEFORE : 購入時(リビング)
かなり圧迫感を感じます。
AFTER1 : 間仕切り壁 解体後
キッチンとリビングの間の間仕切り壁を取り払います。
AFTER2 : 床 解体後
リビングの床は、現状、
抜けている箇所はありませんでした。しかし、当時の工法では
根太(ねだ)が細く、また経年劣化により、床鳴りがする状態でした。そこで、
根太の補強を行う必要があると判断し、
床板は取り外しました。
6.解体(キッチン)
次は、この方向から見た解体の様子です。
BEFORE : 購入時(キッチン)
購入時は、古い
既製品の
キッチンがついていました。
AFTER1 : キッチン・床下収納 解体後
キッチンも
床下収納も全て手作業で外します。
AFTER2 : 床板取り外し後
床板は、
丸ノコも使用しながら、外していきます。
床は抜けている箇所、配管が破損している箇所があるため、
床板だけでなく、
根太、
大引(おおびき)も外します。
7.解体に使用した道具
バール
バールには、
大・中・小の
3種類の大きさがあり、通常
「バール」と言ったらこの
中バールを指します。
てこの原理で利用するため、女性でも容易に扱うことができます。
玄翁(げんのう)と併せて使用します。
大バール
大バールの方が、
中(通常サイズの)バールよりも、大きい分、
力がかかり易いつくりになっています。
解体を行う際には必須の道具といえます。
小バール
大まかな解体を行った後、
柱から出ている
釘等を抜く際に使用します。
解体ではさほど
使用頻度は多くありませんが、
造作の際は3種類の中で最も
使用頻度の高いバールです。
丸ノコ
床板を外す際は、正直
バールだけでは厳しいです。丸ノコの使用をお勧めします。ただし、解体時の
丸ノコ使用は最も怪我の原因となり易いため、
十分注意して使用してください。また、
解体で
丸ノコを使用すると、すぐに
刃が傷むため、
通常使用で古くなった
刃を取っておいて、解体用に使用すると良いでしょう。
8.道具に関する参考記事
【初心者大工必見】道具はこの順番で揃える!〜手動工具編
大工になって少し経つと「自分の道具を揃えたい」と誰しもが思うはず。でも一気に揃えるほどお金はないし・・。そんな時にはこの順番で揃えるのがお勧め。今回は手動工具編。最近独立を果たした大工がこれまでの経験から書いていきます。
【初心者大工必見】道具はこの順番で揃える!〜電動工具編
大工になって少し経つと「自分の道具を揃えたい」と誰しもが思うはず。でも一気に揃えるほどお金はないし・・。そんな時にはこの順番で揃えるのがお勧め。今回は電動工具編。最近独立を果たした大工がこれまでの経験から書いていきます。
【のこぎりガイド決定版!】電動のこぎり3種類を徹底解説
丸のこ、スライド、ジグソー、これらを上手く使い分けられれば、幅広い造作ができます。しかし、的確な使い分けをしていないと、道具の短命化や、怪我の原因にもなります。今回は道具の使い分けについて説明します。
9.最後に
解体は、
体力的にも
衛生的にも大変な作業です。下記の点には特に注意して作業しましょう。
ざっくり言うと
- 防塵マスクを着用する
- 長袖を着用して作業し、軍手も必ず着用する
- 丸ノコ使用時は必要以上に刃を出さない
- 丸ノコ使用時は釘を切らないよう十分注意する
- 丸ノコの後ろには立たないように注意する
- 安全に注意し、適宜休憩を取りながら作業する
9.次回予告
次回は、解体した1階に、床を作っていきます。床がどうできているかや、
床の作り方を交えてご紹介していきます。どうぞお楽しみに!
執筆者
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一人親方として大工仕事を行う傍ら、廃墟を購入し住み込んで理想の家を作るなどしている。