はじめに
今回は、賃貸住宅の原状回復工事をメインに行っているリフォーム会社にお伺いして、営業マンのカバンの中身を拝見してきました。
Kさんのカバンの中身
バッグは2個持ち歩いています。奥はPCや書類を入れる、営業活動のためのバッグです。手前は
現調を行うときに使う、工具を入れているバッグです。
賃貸物件における現調(現地調査)の作業工程の解説
今回は賃貸物件において原状回復工事を行う前の「現調」の作業方法をわかりやすくご紹介します。この現調が甘いと工事に掛かる費用を見誤ってしまったり、工事後に不具合が生じてしまったりと、トラブルの原因になるので要注意です。
営業用のバッグには、外出時に問い合わせがあっても対応できるように、提出済みの見積り、重要書類等を入れています。
携帯電話
コーポレートカラーが緑なので、会社支給の携帯は緑色です。
ブルートゥースのハンズフリー
車での移動が多いため、運転中にお客様から電話があっても、通話ができるように使っています。
ボールペンと名刺入れ
モンブラン(ネーム入り)の物を使用しています。特にボールペンは契約書類にサインを頂くときなど、特別なシーンのみ使用します。
大事にされているので、購入から数年経っても綺麗な状態です。
朱肉
お客様との退去立会いで、敷金の精算をする際に印鑑を押してもらうための物です。以前、朱肉を用意せずに捺印をお願いしたら叱られてしまったことがあり、以来必ず持ち歩いています。
デジタルカメラ
現調に必須のデジタルカメラは会社支給のものです。紫色の本体にセンスを感じます。
ノート(自由帳)
「現調の内容や、問い合わせの内容をメモしています。基本的には現調シートに記入していますが、内容が多いときはこの自由帳に記入します。大きな現場は1件で4ページ使用することもありますね。」
現調時のイメージです。採寸して数字や補修が必要な箇所を書き込んでいきます。
「会社から支給されているノートパソコンとiPadも入っています。社内で同じ機種のPCを使っている人もいるので、趣味で入っているツーリングチームのステッカーを貼って、見分けやすくしています。」
「もうひとつのバッグには、現調に必要な道具類が入っています。心配性なので使用頻度が少ないものも持ち歩いちゃってますね。ビスなどの部品類は車に積んでいます。」
レーザー距離計
「距離を測る床の平米数を出すときなどに使います。手動よりも効率的ですね。ただし、クロス(壁紙)を測るときは手動メジャーを使用します。クロスは決まった巾(90cm)で何本必要か、という見方をするので、90cm巾を手動メジャーで出したまま測っていくほうが早いからです。」
内履き
スクレーパー
「シールなどの粘着物や、固着した油汚れを剥がすのに使用します。」
激落ちくん(メラニンスポンジ)
「退去立会いの際、簡易な汚れは激落ちくんでこすると落とせるものが多いです。逆に、これで落とせなければ、入居者さんからの過失を取るという判断基準になります。」
シリコン
「接着剤代わりに使用します。面材がはがれている時に使ったり、漏水の簡易補修に使用することもあります。」
ペイントマーカー
「壁紙に油汚れがはねている時、リタッチするのに使います。」
伸縮式の鏡
「高い所のエアコンや、水洗の裏側に品番がある場合に、伸縮式の鏡を使います。」
ハケ
「ビスを打つとボードからこぼれた粉を払ったり、クリーニング後のお部屋に入った後、退室時に払ったりするのに使います。」
マスキングテープ
「工事の施工箇所を業者向けに指定するときに使用します。」
ビニールテープ
「電気関係の工事。絶縁のために使います。コンセント交換、照明器具交換などのケースですね。」
下地どこ太さん
「石膏ボードの下地探し用です。大体の場所はドライバーで叩くと響く音が変わるので分かりますが、より正確な位置を見つけるために使用します。カーテンレールの設置、エアコンのリモコンホルダーの設置時などですね。下地がないときはボードアンカーを打ち付けます。」
ワイヤーカッター
「電線、残置された光ケーブル、モールなどをカットするために使います。」
養生テープ
「現場に指示出ししたいときに養生テープに指示を書き込み、壁などに貼ります。ロールのままドアに挟めば、ドアストッパーとしても使えます。ゴミをまとめるのにも使えますし。時々、包丁を忘れてしまう入居者さんもいるので、雑巾で包んでテープでくるむこともあります。」
トイレットペーパー
「色々拭けるのはもちろん、清掃が終わった部屋の水洗のチェックにも使用します。緊急時に本来の目的で使うこともあります。」
プロが行う水回りの漏水チェックの方法を解説
お部屋のリフォームが完了した後、お客様の入居前に行う、水回りの漏水チェックの方法です。一般の方でも、内見時や入居時のチェックに役立つ情報です。
退去立会いの際には、入居者様の負担が少なくなるよう、小さい傷や汚れの補修はできる限りその場で直してあげることを心がけているそうです。そうした上で、その場で補修が難しいものは一部入居者負担をお願いすると、快く了解を頂けることが多いそうです。
永見さんのカバンの中身
永見さんはカバン1つです。メーカーはKさんの営業カバンと同じ
TUMIのものを使っています。
「電車で移動することもあり、荷物はなるべく少なくしたいので、コンパクトにまとめています。」
激落ちくん
朱肉
電動メジャー
マスキングテープ
養生テープ
こちらはKさんと同様、リフォーム営業マンには必須となっているようですね。
ノート
「高級感があって気に入っています。ある程度のサイズで情報量が多く書き込めることがポイントです。」
ノートPC
「管理会社様にいち早く報告ができるよう、現場で見積りを作ってしまうこともあります。」
使い捨てスリッパ
「正直、かなり汚い状態のお部屋もあるので、スリッパは必須です。」
電圧計
「入居者対応で電圧を測ることがあるため、持ち歩いています。エアコンの電圧が100Vなのか200Vなのか確認したりするのに使います。」
ドライバー
道具にあまり拘りはありませんが、ドライバーはスイスツールズのものが使いやすいので愛用しています。
バインダー
「お客様の契約書など、退去立会いに必要な資料を入れます。」
今回、バッグには入れていませんでしたが持ち歩くと便利だと思うものを伺いました。
エアコンリモコン用の電池
まれに電池切れの場合があります。リモコン本体の故障ということもあり得るので、チェックするためにあると便利ですね。
電球
照明が取り外されたお部屋で夕方以降の
ライト
電気が通じていないお部屋もあり、夕方以降は暗くなってしまうため。
脚立
「照明を付けっぱなしにしていくお客様が多いのですが、元々設置されていなかった照明は処分するのに費用がかかることをお伝えすると、持ち帰りを希望されることがあります。その時に、こちらで取り外してお渡しできるように、脚立があると便利ですね。また、エアコンカバーの爪が欠けていたり、フィルターが片方外れていたりということもあるので、エアコンの上部まで確認する際にも使えます。」
取材した会社 ~桐株式会社~
永見さんは今回取材させて頂いた桐株式会社の取締役でもあります。永見さんに、どんな会社なのか伺いました。
当社は、賃貸住宅の原状回復、クリーニングや簡易的な工事をメインに行っているリフォーム会社です。空室になる直前の退去立会いに出向き、入居者さんが傷つけてしまったところはないかチェックして敷金の精算を行います。また、退去後にお部屋の詳細な調査を行い、新しい入居者さんを迎えるために、どこまでの工事が必要か確認してオーナー様、管理会社様に提案します。
私たちの屋号、『BranchPointManagement』には、人の人生や事業の展望を変えるくらいの機会、いわば分岐点になりたいという思いが込められています。
BPMと関わってくださる皆様に、これまでにない価値を提供したい。そうした思いをカタチにするために掲げたスローガンが、”「つくる」をつくる”です。
皆様のBRANCH POINTとして、希望に照らされた前途を想像できるよう、これからも常に新たな「つくる」を模索してまいります。
また、新サービスのために社内でシステム開発も行っています。11月には、管理会社様向けに入居者対応のコンタクトセンターサービス「ナオシテ」を開始しました。修繕の現場対応が可能なスタッフが応対し、LINEでのやり取りも可能なので、訪問回数を減らし、アポ取りもしやすくなるなど入居者様にも喜ばれています。今後も、オーナー様、管理会社様、入居者様にとって、より良いサービスを提供していきたいと考えています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
共通して持ち歩いている、リフォーム営業マンにとって必須といえるようなものもあり、その人ならではといえるようなものもあり、営業マンの方々のこだわりや個性を感じる取材となりました。現場ありきのお仕事なので、従来からあるアナログな道具を多く使いつつも、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器も上手く業務に取り入れて、効率化を図っているのが印象的でした。ぜひ参考にしてみてください。