はじめに
丸ノコ、スライド、ジグソー、この3種類を上手く使い分けられるようになれば、一通りの造作はできるようになります。
作業の際は、各工具の特徴を理解し、工具の使い分けをすることで、手際よく作業でき工具を長持ちさせることができます。
今回はどんな時にどの工具を使うかをご紹介します。
電動のこぎり3種とは?
電動鋸には大きく分けて
丸ノコ・スライド・ジグソーの3種類があります。
同じ電動のこぎりですが、それぞれ役割が異なります。
丸ノコの特徴・長所・短所
最も汎用性が高く、現場で頻度高く使用されます。
大きな板を切ることも小さな造作を行うこともできます。精度の高い直線を切ることが可能です。
怪我の危険性が高いので取り扱いに注意が必要です。また正確な直線を切るには技能が必要です。大判(1820mm*910mm程度)の板などを切削するのに向いています。
スライドの特徴・長所・短所
作業台に固定された丸ノコです。主に角材を切るときに使用し、その大きさにより最大90〜105角の材料を切れます。
安定して、ほとんど危険性なく使用でき、直線の精度が非常に高いのが特徴です。
切れる材料が限られ、幅30cm程度が限界のため、丸ノコに比べると汎用性は低いです。
角材(柱、大引、根太、壁・天井下地)やフローリングを切るのによく使います。
ジグソー
ジグソーは頑丈な電動糸鋸です。糸鋸ほど繊細な作り込みはできませんが、その分ある程度の強度に対応することができます。
安全性は高いため、DIY等でも気軽に使用することができます。
精度は丸ノコやスライドに比べるとかなり劣り、大きな造作には向きません。
曲線やシンク穴あけなどのちょっとした造作に向いています。
最適な道具の選び方
では、どのシーンでどの道具を使うべきなのでしょうか?
詳細は下記の通りです。
直線と曲線
直線は丸ノコとスライドで切り、曲線はジグソーで切ります。
板と角材
角材はスライド、板材は丸ノコで切ります。
曲線の場合は、角材であれ板材であれジグソーで切ります。
ただし、ジグソーの刃ではあまり幅の広い角材の切断は難しいでしょう。
ここからは、それぞれの材料に合わせて、精度を高く材料を切るための道具と方法の組合せをご紹介します。
直線を切る方法(角材)
角材を真っすぐ切る際は、
スライドを使用します。
スライドの使い方
1. まず、角材は端を落としましょう。
長い材料は運搬や保管の際に両端がぶつかり易く、端は傷んでいると考えた方が良いでしょう。
2.スケールで切りたい長さの位置に印をつけます。
※スケールとは、巻尺・メジャー・コンベックスの別名です。
スケールの使い方のアドバイス
スケールで長さを計る際は、角材のかどにスケールのつめ(金具)を引っ掛け、角材の辺に沿わせ、真っすぐ引っ張ります。
※
スケールのつめは押したり引っ張ったりすることで、1〜2mmの差が生じ、正しく使うことで精度が出るようにできています。
3. ガイドフェンス(赤い部分の金具)にしっかり木材を沿わせ手で押さえます。
4. 2でつけた印に刃を当てて、位置を合わせます。
電源は入れずに刃を当ててください。
5. 木材から刃を離した状態で電源を入れ、木材に刃をつけ、材料を切ります。
これで、簡単に精度高く角材を切ることができます。
直線を切る方法(板材)
板材を真っすぐ切る際は丸ノコを使用します。丸ノコで直線を精度高く切るには慣れが必要です。
ここではとんぼと呼ばれる定規を使用して、初心者でも割と簡単に精度の高く板を切る方法をご紹介します。
丸ノコ・とんぼの使い方
1. 切りたい長さを測り、印をつけます。
2.丸ノコにとんぼを差し込みます。
そして板にとんぼを沿わせ刃を1の印の位置に合わせます。
3. 開いている状態のレバーをしっかりと締めます。
↑レバーが開いている状態
↑レバーを締めた状態
4. とんぼを板にしっかりと沿わせ刃が板に当たらない状態で、電源を入れ丸ノコを前に進めます。
トンボを上手く扱うコツ
この時、
とんぼの反対側に力をかけながら、とんぼがぶれないように前に丸ノコを進めるのがポイントです。
また、垂木(たるき)が、板から出ていると、とんぼが引っかかってしまうので、
垂木は出ないように板の下に仕舞っておきましょう。
曲線を切る方法
曲線を切るにはジグソーを使用します。
ジグソーの使い方
1. 切りたい形に線を引きます。
曲線が得意なジグソーですが、切れる角度としては直径20cmの円径程度が限度です。
2.変速ダイヤルは最も弱くしておきます。
特に分厚い材料の場合、変速ダイヤルを強くしていると板に対して刃が直角に動かせず、
切り口が斜めになってしまいます。
初めのうちは、変速ダイヤルは弱くして使用した方がいいでしょう。
3.刃を振動させる前に一旦刃をあて、位置を確認します。
少しジグソーを後退させ、板とジグソーの隙間を空けてから電源を入れ、線に沿って切っていきましょう。
4.切り終わったら完成です。
あとは、鉋(かんな)や鑢(やすり)で形を整えましょう。
参考
ジグソーと鉋の詳細な使用方法は下記でご紹介していますので、併せてご覧下さい。
ジグソーの購入のポイントと基本的な使い方
「曲線が切りたい」「細かい造作をしたい」と思うようになったら、ジグソーの出番。手のこや丸のこでは行き届かなかった、細かい作業ができるようになります。今回は、ジグソーを購入する際のポイントや基本的な使い方をご紹介します。
新人大工さん必見! かんな(鉋)の使い方と購入のポイントを徹底解説!
大工を始めたら早々に購入したいのがカンナ。
使いこなせるようになれば、面取りや仕上げだけでなく、
例えば「ダボ穴を埋める丸棒を余った材料で削りだす」こともできます。
今回は、購入のポイントと基本的な使用法をご紹介します。
安全に使用するために
電動鋸はとても便利な道具ですが、使い方を誤ると非常に危険な一面も持っています。
使用の際は下記の点に気を付けましょう。
安全な工具使用のチェックポイント
- 材料はしっかりと左手(右利きの場合)で押さえる
- 工具を切るときは、必ず刃を前に進め、後ろに向かっては切らない
- 切り始める時は、必ず、材料から刃を離した状態で電源を入れ、材料に刃をあて、切り始める
- 跳ね返り(前に進め難い状態)を感じたら、すぐに電源を落とし、その原因を確認する
- 切れ味の良い刃を常に使うようにする。切れ味の悪い刃は、跳ね返りや怪我の原因となるため、古くなったら取り替える
- 適切な刃を使い、その刃に対応した材料以外は切らないこと。特に解体した材料等を捨てる為に切断する際は、誤って釘等を切らないように注意する
- 各種レバーをきちんと留めた状態で使用する。工具には、多くの便利な機能がありますが、その分多くの留め具があるため、その全てをきちんと締めた状態で使用するようにする
丸ノコを安全に使うためのチェックポイント
- 必要以上に刃を出さない。異なる厚みの板を切る際は、必ず刃の出し加減を調整してから使用する
- 刃の後ろには立たない。万一、跳ね返りがあった際、怪我をしないようにするため
最後に
今回は、基本的な使用方法をご紹介しましたが、
丸ノコやスライドを使って直角以外の角度(5度単位でメモリがついています)で切ったり、
丸ノコ定規を自作すれば、とんぼのように幅を一定にしなくても真っすぐ切れたりします。
まずは、基本的な使用方法をマスターして、徐々にレベルアップしていきましょう。
執筆者 スタジオすむとこ
「住みたい」家を作ろう
「住みたい」家を作ろう – 今、「住みたい」家に住んでいますか?駅から近いから。家賃が安いから。築年数が新しいから。それよりも、「この家に住みたい。」と思えるデザインを、私達は作っています。