【プロが解説!】 ノミの使い方と選び方

資材・工具 工具 職人さん向け

はじめに

最近はノミを使用しない若い大工さんも多いようです。 しかしやはり木造の細かい造作やほぞを作って組み合せる際等にノミは必須です。 今回は、簡単な使い方と購入のポイントをご紹介します。

おすすめのノミ

叩きノミと突きノミ(仕上げノミ)

まず、ノミには2種類あります。叩きノミ突きノミです。
叩きノミは玄翁(げんのう)で叩いて使用します。玄翁で叩いても割れないよう、頑丈な作りになっており、また叩く部分に金属性の「桂(かつら)」がついているのが特徴です。
突きノミは玄翁を使わず手で使います仕上げを行う際に使用します。

初めて購入するのにお勧めのノミは?

初めてノミを購入する方は、まず「追入れノミ」の購入がお勧めです。「追入れノミ」は「叩きノミ」の一種で、最も一般的なノミで、造作ある程度サイズのある造作の仕上げに使用します。 ※細かい造作の仕上げには「突きノミ」を使用します。

揃えるべきノミの順番

ノミは大小様々なサイズがあります。どれから揃えればいいか悩みますよね。 下記に記載する幅のノミを1本ずつ揃えましょう。 理由は価格も質も幅広く、また普段頻繁に使用するものも限られるため、 一気に10本セット等で揃えることは控えて下さい。 まずは、1本、使用頻度の高い幅きちんとした精度のノミを購入し、 使用感を確認した後で追加で1本ずつ購入するようにしましょう。 ●1本目:24mm(8分)
まず、1本目に揃えるノミとしては、24mmがお勧めです。金額はピンキリですが、安物だと刃こぼれしやすく、研ぐのも難しいため、なかなか技術を上げにくいと思います。購入の際は、近くの大きめの金物屋さんに行き、お店の方と相談しながら、できるだけ良いものを買うようにしましょう。 ●2本目:9mm(3分)、3本目:15mm(5分)
24mmのノミを使っているうちに、「もっと幅の狭いノミが欲しい」「もっと幅の広いノミが欲しい」等と思うようになってくると思います。 実際に金物屋さんでどの幅が有れば便利か見てみましょう。どんな造作をするかによって異なりますが、例えば、9mm15mmと幅の狭いものを2本購入し、その後、それでも足りない間の幅のものを揃えていくと良いでしょう。 ●中級者向け:ハイス鋼ノミ これは刃が固くて砥石で研ぐのが難しいため、 通常の追入れノミを上手に研げるようになったら、購入を考えても良いでしょう。 コンパネ集成材は接着剤が入っており固いため、 通常の追入れノミだと使用する度に刃が削れてしまいます。 その点、ハイス鋼のノミであれば、刃が固いため都度砥石で研ぐ必要はありません。 必要に応じて研ぐ場合は、ハイス鋼向けの砥石を使用してください。 追入れノミ造作用に必要なノミが揃ったら、 荒削り用に厚ノミや仕上げ用に仕上げノミなど用途によって必要なノミも揃えていきたいですね。

ノミ購入後の準備

ノミを購入したら早速使ってみたいところですが、 使用前に桂(かつら)の調整を行う必要があります。
玄翁(げんのう)で叩いて取り外します。
②取り外したら、元々がついていた部分に少しを付けます。
③下に要らない板等を敷き、桂のついていた部分玄翁で叩きます。
④この一連の作業を「木殺し」といいます。
⑤木殺しが終わったら、玄翁で叩いて嵌めます。
柄の端が1〜2mm出る程度、を叩き入れます。から出た1〜2mm部分を球面になるように叩きしめます。

ノミの安全な使い方

ノミは木材にを空けたり、角を欠く際に使用します。 今回は、角を欠く際の手順を例に取り、ご紹介します。
をしっかりと握り、木材と直角を立てます。
玄翁柄の頭を叩き、切り込みを作ります。この際、木材に対して鑿は垂直に立て、玄翁を真っすぐ叩きおろしましょう。 また、ノミを抜くときは左右にもみながら抜くようにしましょう。 前後に抜くと、刃が欠けやすいため、気を付けてください。
③角度を定め、玄翁で柄の頭を叩き、削り取っていきます。この際、一気に削り取る事は目指さず、少しずつ削り取っていくのがポイントです。 また、ノミの刃先側には立ったり、手を置いたりすることは、けがの原因となり大変危険ですので、絶対にしないでください。
④以上の作業で、木材をこのように欠くことができます。

ノミを使ったホゾの開け方

こちらの手順で、臍(ほぞ)を作ることもできます。こちらの作業も同様に、少しずつ削り取るようにしてください。一気に削り取ろうとすると、木目の方向に割れてしまったり、過剰に力がかかってしまい、怪我の原因となったりします。

ノミの研ぎ方

① 研ぐ前に砥石を水に浸しておきます。(10分程度)
② 中砥石で、30度の角度で保ち、前後に研ぎます。刃がえりが出る続けます。③ 仕上砥石で、同様に研ぎます。細かい刃がえりが出るまで続きけます。 ④ ②③を何度か繰り返します。  
 
 
⑤ 刃を裏返し、中砥石で、左右に研ぎます。刃がえりが出る続けます。 ⑥ 仕上砥石で、同様に研ぎます。細かい刃がえりが出るまで続きけます。 ⑦ ⑤⑥を何度か繰り返します。
※刃が欠けているようなことがあれば、中砥石の前に、荒砥石を使用します。

電動ノミ

    電動ノミは現在、廃盤となりつつあります。工場で切った材料を現場で組み立てるだけのプレカットが主流となってきているからです。現在、職人の方々は自分の電動ノミをメンテナンスしながら使っている状況です。 写真は、左から「コミ栓角ノミ」「チェーンノミ」「角ノミ」「大入ルーター」です。もし、こういった機械を持っている職人さんと仕事をする機会があるようであれば、是非作業を見せてもらってください。非常に貴重な機会となると思います。

最後に

ノミは初心者から手軽に使う事ができますし、 上手く使えるようになるにつれ、臍(ほぞ)で家具を組むなど確実に造作の幅が広がります。 様々な幅のノミを集めながら、確実に腕を上げていきたいですね。

執筆者

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