ボードアンカーとは
ボードアンカーは、直接ネジを締め付けることができない石膏ボードが張ってあり、中空構造の壁にエアコンや棚などの取付物を組み付けたい時に使用する部品です。
ビスの締め付けと取付物の荷重に耐えることができるような構造となります。
締め付け用の穴をもった樹脂部品をあらかじめねじ込むタイプや、トグラーアンカーなどと呼ばれる壁の中の部分を押し広げて抜けにくくなるものなどがあります。
アンカープラグとの違い
高層マンションなど鉄筋コンクリート造の建物では、石膏ボードの内側が木材などではなくコンクリートであることが多いです。コンクリートに打ち込む場合、アンカープラグを使用しましょう。
アンカープラグはコンクリート用のアンカーであり、プラスティック製やナイロン製の製品があります。コンクリートは素材がくずれやすくビスが効きづらいため、ボードアンカーではなくアンカープラグが適しています。プラグが広がり隙間を埋めるため、しっかりと固定されます。
ボードアンカーの取り付け面
ボードアンカーは取り付ける面に注意しなければなりません。
石膏ボードであること
石膏(せっこう)を主成分とした材料で、日本の戸建てやマンションによく使われています。表面の石膏ボードは崩れやすくビスが効かないため、通常木材などの下地が入った位置にビスを打ち取付物を固定します。
下地となる素材は、木材や金属、コンクリートなどがあります。
壁紙の内側には石膏ボードが張られています。
中空構造であること
石膏ボードの内側に木材などの下地がなく石膏ボードのみの面です。石膏ボード内側の下地が入ったところ以外は中空構造です。
ボードアンカーを使用する事で、ねじや釘が使えない中空構造の壁に簡単に器具を取り付 けることが可能です。例えば、制御ボックス・ウォールキャビネット・ドアーチェックの取付けなどに使用すると、作業がスムーズに進行します。
ボードアンカーを使用する必要がない場合は?
石膏ボードが張られている壁面でも、石膏ボードの内側に木材などの下地がある場合があります。
このような壁面ではボードアンカーを使用することなく、ビスを石膏ボードの内側下地に打ち付け、固定することができます。
下地があるか確認をするためには下地チェッカーという工具を使って事前に確認をしましょう。
ボードアンカーの種類・施工方法
通常タイプ
通常タイプのボードアンカーです。
石膏ボードの内側に下地がないことを確認し、取り付けたい場所に目印を付けます。
ボードアンカーは下穴なしでもねじ込めるように出来ていますが下穴を開けるとより正確な位置に取り付け出来ます。目印にドライバーの先端をあわせ軽く押し付けながらグリグリと回転させるとかんたんに下穴を開けることが出来ます。
下穴にアンカーを差し込みます。この時インパクトドライバーを使用すると締め込みすぎて石膏ボードが破損する場合があります。手回しでアンカーを入れることをお勧めします。
ねじ込むときはあまり力をかけすぎずに行います。
下穴にねじ込んだ後の様子です。
棚やフックなど、取付物を挟んでアンカーにビスで固定すれば完了です。
プラスチック製のものと金属製のものがあります。一般的に使われているボードアンカーはこのタイプです。
打ち込みタイプ
面積の広い面を上に向け、ハンマーで真っすぐに叩き込みます。
ハンマーで叩くときは、的を間違えずに、強すぎないように叩きます。
取付物の上からビスで締め付けて完了です。
ビスがアンカーにはまることを必ず確認します。
ビスを打ち込むとアンカーが段々と開いていきます。
ハンマーで強くたたくとボードが崩れる可能性があるので注意が必要です。
トグラータイプ
- 電動ドリルで下穴をあけ、羽を閉じた状態でアンカーを押し込みます。
- 付属のピンを押し込むと、中で羽が開いて固定されます。
- 取付物の上からビスで締め付けて完了です。
石膏ボードだけではなく、中空構造であればコンクリートにも使用可能です。
通常タイプ、打ち込みタイプのボードアンカーよりも強度が大きいです。
ボードアンカー使用時の注意事項
ボードアンカーは天井にも使える?
天井にペンダント型照明を飾る場合など、天井照明を設置する際に固定を必要とする場合があります。
ボードアンカーを天井に使用することは推奨されません。一時的に重さに耐えられても、温度変化による膨張収縮・地震の振動・横揺れが微々積み重なって、石膏が崩れる可能性が高いからです。各メーカーの注意事項として、ボードアンカーを天井に使用することは禁止しています。
万が一石膏ボードが崩れてしまうと、命にかかわる大事故につながってしまうので、天井にボードアンカーを使用することはやめましょう。
ペンダント型照明を飾る場合など天井に物を固定したい場合は、野縁(のぶち)と呼ばれる部分にビスを打って固定をしましょう。
野縁の多くは木材であり天井ボードを止めているので、その野縁を探して止めれば良いでしょう。野縁の確認は下地チェッカーを使用しましょう。
天井の石膏ボードは野縁にビスを打ち付け固定しています。下地チェッカーを使って野縁を見つけ、天井に物を取り付ける場合は野縁が下地になるようにしましょう。
野縁に固定すれば、自分好みの照明を安全に使用できます。
ボードアンカーは取り外して使える?
ボードアンカーは一度取り付けると、取り外しができないものが多いため、取り付けの位置決めは慎重に行う必要があります。
取り付けるものの大きさや、取り付け位置に印を残すなど注意をしましょう。
まとめ
ボードアンカーは壁に取付物を固定する際に有効ですが、天井には適しておりません。
DIY初心者の方は通常タイプのボードアンカーを使用することをお勧めしますが、下穴を開けるなど基本的な手順に注意しながら取り付けましょう。

