はじめに
マンション・アパートのリフォームで必須となる養生の仕方についての記事です。部屋に資材を運び入れる際、廊下やエレベーター、エントランスなどの共用部の床や壁にぶつけて、傷・汚れをつけてしまうのを防ぎます。長ければ1か月程度の工事期間中、はがれないようにしっかりと固定しておくために、ちょっとしたコツが必要です。また、各建物によって求められる養生のレベルが異なりますので、管理人や管理会社の方にあらかじめ確認を取っておくことが必要です。
使用した道具
養生テープ
手で簡単に切れやすく、粘着力が弱いため、跡が残りにくいテープです。
25㎜幅、1ロール25mで180円程度です。
ブルーシート
建築、土木現場からレジャーまで、幅広く使用されています。
900mm幅、1ロール100mで2,800円程度です。
プラダン
衝撃に強く、断熱効果や遮音効果に優れているプラスチックダンボールです。
約1820×910mmサイズのシートが、5枚セットで4,600円程度です。
費用概算
今回は、おおよそ60mの廊下とエレベーターの養生でした。
養生テープ 1ロール25m 180円×6ロール=1,080円
ブルーシート 1ロール100m 2,800円×60/100=1,680円
プラダン 900×1800 5枚につき4,600円
費用合計 7,360円
養生前写真
エレベーターホール
エレベーター正面
エレベーター内部
エレベーター内部から見た図
エレベーターホールから廊下にかけて
共用廊下
共用廊下
共用廊下曲がり角
建物エントランス
養生の仕方
床の養生(エレベーターホール~廊下)
シートを敷く際に重要なことは、シートを養生テープで貼ったときに、テープが端まできっちりと埋まるように敷くことです。
しっかりと固定するために、テープの貼りしろとして、養生テープの幅の半分程のすき間を空けるようにシートを切り、敷いていきます。すき間を空けずにシートを敷いてしまうと、テープで貼っても固定できずに次第にずれてきてしまいます。
養生箇所の端と、テープの端を合わせて留めます。
このように、端を固定したら、シートのたるみを伸ばしながらシートを広げ、横にもテープを貼っていきます。
シートを伸ばす方向を曲げたいとき、既に固定したシートの上に、次に敷くシートを重ねますが、この際にぴったりと重ねるのではなく、下のシートを1cm程はみ出させて重ねます。そうすることで、2枚のシートを養生テープで固定しやすくなります。
端を留めて固定したら、シートを伸ばします。
伸ばしたシートのサイドをテープで留めていきます。
テープを引き出すのと反対の手でテープを押さえて空気を抜きながら、スピーディーに留めていきます。
ここでまたシートを曲げますが、シートが通路の真ん中に来るように採寸してシートを切ります。
先程と同様に、下のシートを1cm程はみ出させて重ねます。
上のシートをテープで留めて固定します。
今回はやや距離があるため、3点をテープで留めておきます。
シートを伸ばします。
また曲がり角でシートを採寸し、真ん中にくるように切ります。
シートを長い距離に貼る場合は、たるみを伸ばして端を仮止めします。
また90度方向を変えてシートを置き、仮止めします。
曲がり角にきたら、またシートを仮止めします。
仮止めしたうえで、全体を留めていきます。
固定できたら、直線は一気にシートを広げます。
目的の部屋まで到達しました。
ここでもシートのたるみを伸ばして仮止めします。
仮止めしたシートの両サイドを一気に留め、固定していきます。
途中、雨水管に重なる部分があったため、シートを切り、管を避けて留めています。
この作業を怠ると、雨天の際に正しく排水されず、水浸しになってしまいます。
エレベーターの養生
はじめに、プラダンをエレベータの入口の側面に貼ります。ここでもやはり、上下左右に養生テープ半分の貼りしろを残してプラダンを当てて、留めていきます。
下も貼りしろを残して仮止めします。
仮止めをしたら、余分な部分をカッターで切ります。この際に、面で切るようにします。テープの貼りしろを取りたいのと、面を越えてしまうとプラダンが反発する力ではがれやすくなるためです。
テープでしっかりと固定します。
反対側も同様に養生した後、上部にも養生をします。
ここでもテープの貼りしろを考慮して小さめにシートを切っておき、四方を養生テープで固定します。
エレベーター内部は床から、貼りしろを残して切り、四方を養生テープで留めていきます。
ドア開閉部のぎりぎりまで養生テープが来るように留めます。
幅が足りない部分はシートを継ぎ足します。
手すり部分などはシートで覆ってしまわないように切り込みを入れて露出させます。
操作盤なども同様に露出させます。
階段の養生
悪い例
階段の養生をする際、一続きに敷いてしまうと段差の部分でどうしてもたるみが出てしまい、人が通って負荷がかかると、はがれてきてしまいます。
このような養生ですね。手間がかからず、一見、それなりにカバーできているように見えます。
しかし、階段の段差の入り部分にたるみが出るため、
何度か通行すると、その部分からシートがよじれたり、はがれる原因となります。
良い例
シートのたるみを避けるために、一段ずつ養生を行います。ここでも養生テープの幅半分のすき間をあけて養生テープで留めます。
手前は、ノンスリップの部分を残して切ります。
ノンスリップ部分を貼りしろとして残したことで、テープでしっかりと固定できます。
シートの幅が足りない場合は、重ね貼りをして全面をカバーします。これが一段の完成形です。これを全段に施していきます。
養生後写真
エレベーターホールから共用廊下
エレベーター前
エレベーターホールから廊下にかけて
廊下の曲がり角
直線
エレベーター内部
1階エレベーターホール
まとめ
いかがでしたでしょうか?養生は一見地味ですが、物件保全のために絶対に必要な作業ですし、こうしたところで丁寧かつ手際よく作業できる職人さんは評価されます。
「〇〇さんの仕事は丁寧だからまたお願いするよ。」とオーナーや管理会社からリピートして頂けるような職人を目指しましょう。