VVFケーブル(Fケーブル、VA)の使い方

資材

 

VVFケーブルとは?

VVFケーブル(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable、通称:Fケーブル、VA)は正式名「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型」の略称です。 600Vまでの低圧屋内電気配線用のケーブルで、複数の導線を絶縁体で分けてビニールが覆っています。 平べったい形をしているのが特徴です。 VVFケーブルは600Vまでの低圧屋内配線で家庭内の壁、天井を這わせ、ブレーカーからコンセントプレートや電気照明などを結ぶための配線に利用します。 通常は第2種電気工事技士の資格範囲の工事で使用するケーブルです。 電気配線の施工に不備があれば漏電トラブルの原因となります。 漏電から火事の危険性もありますので資格取得とともに、正しい知識とスキルを身につけて施工を行ってください。

VVFケーブルの種類と使い分け

VVFケーブルの種類は導線の太さと導線の数です。 導線の太さは主に1.6mmと2.0mm、導線の数は2芯、3芯、4芯といった種類があります。
2芯・3芯のケーブル例
この2つの要素はVVFケーブルの電流許容量が異なります。 そのため、電気配線の目的や現場の仕様に合わせて選択することが求められます。 ただし一般的な住宅、リフォーム工事では1.6mmと2.0mmを利用することが多いです。 というのも、家庭の電気ブレーカ容量は30~40Aが一般的で、ブレーカー内で分岐している子ブレーカーの容量はそれぞれ20Aが上限になっているからだと言われています。

VVFケーブル 許容電流値(参考例)

1.6mm-2芯 許容電流値 18A 2.0mm-2芯 許容電流値 23A 1.6mm-3芯 許容電流値 16A 2.0mm-3芯 許容電流値 20A ※メーカーにより異なる場合があります。

ケーブルのカラー活用法

VVFケーブルの色は一般的にはグレーですが、メーカー各社で複数種類のカラーが販売されています。 商業施設など配線が複雑となる建物では、色に役割を与え、施工だけではなく、アフターメンテナンス時に誰が見てもどの配線かを分かりやすく共有することが出来ます。

VVFケーブルの切断方法

VVFケーブルは利用時に適切な長さへ切断し不要な絶縁体を剥ぎ取って利用します。 剥ぎ取りの際に導線が傷ついてしまうと施工不良の要因となりますので注意が必要です。 VVFケーブルの切断に利用する道具には主に – VA線ストリッパー – 電工ナイフ があります。 今回はVA線ストリッパーを利用する方法を紹介していきます。 第一線で活躍されているベテラン電気工事士の道具は、素早く作業が可能なガッチャンタイプのものでした。 電気工事士技能試験でも利用可能な必須アイテムです。
VA線 ストリッパー ホーザン ペンチタイプ
VA線 ストリッパー ガッチャンタイプ

VA線ストリッパーの使い方

VA線ストリッパーはケーブルの切断、ビニールと絶縁体を剥ぎ取る為の専用工具です。 ペンチと、ケーブルの被覆部、絶縁体だけを丁度剥ぐための刃が一体となっています。 2芯、3芯といった複数の芯線をまとめて正確に処理出来るため効率的な作業が可能になります。

外装(シース)覆剥ぎ取り

VVFケーブルのビニールと絶縁体を剥ぎ取ります。 VVFケーブルの種類(芯線の太さ、数)と合致しているストリッパーの刃で挟み込みます。 ストリッパーを握り、外装を剥ぎ取ります。 芯線が見えればこの作業は完了です。 ガッチャンタイプでの作業は数秒で完了します。
はぎ取り位置を設定

内装絶縁被覆部の剥ぎ取り

芯線のビニールを剥ぎ取り、中の導線を露出させます。 芯線の太さ、数に応じたストリッパーの刃で挟み、被覆部を剥ぎ取ります。
芯線がでた状態
※高機能のストリッパーではほとんど半自動化されて作業が可能です。

切断

ストリッパーのペンチ部分を利用して必要な箇所でケーブルを切断します。 切断部分はケーブルの露出、結線部分の長さも考慮してください。 芯線はまっすぐでないと事故につながりますので最後まで正確な作業を心がけてください。
必要な長さに切断
長さを正確にはかるためには、ストリッパーのスケール(目盛り)を利用するのが有用です。 作業しながら長さを図れますので是非活用しましょう。

VVFケーブルの接続

電気配線を行う際、3路スイッチを仕様通り実現するにもケーブルとケーブルの接続結線が必要になります。 ケーブル同士の接続には様々な方法がありますが、芯線が露出する箇所ですのでしっかりとした処理をしないと施工不良箇所になり易い箇所ですので注意しましょう。

ケーブルの接続方法

ケーブルの接続方法にも種類がありますが、今回は簡単で便利な接続差込みコネクターの利用方法を紹介していきます。 コネクターを利用して差し込むことによって、導線の接続が可能となります。 これらも設置場所や求められる耐久性といった観点から適切に選ぶ必要があります。 接続差込みコネクター以外にも – 絶縁付きリングスリーブ – 圧着作業が必須のリングスリーブ といった資材でケーブル接続は行われています。
コネクター利用イメージ

接続差込みコネクターの使い方

※屋内用のジョイントボックスへ必ず収めるように利用してください。
  1. 芯線電線を12mm~13mmむき出しにします。 この時線が波打たずまっすぐになっていることを確認します。 まっすぐで無いと電気の流れに影響してしまい、火事の原因につながります。
  2. 結線させる対象のケーブルを一本ずつコネクタの差込み口へ差込みます。 突き当たる感触がありますのでそこまで差込み、軽く引っ張抜けないことを確認すれば差込み作業は終了です。
  3. ケーブルを抜くときは、ねじりながら軽く引っ張ることで、結線を解除し、コネクタから抜くことができます。

VVFケーブルの敷設に関する注意点

VVFケーブルは天井や床下などの見えない所を這わせることになりますが、ケーブルは繋がっていれば良いというわけではありません。 電気設備やケーブルは、電気の性質や安全確保の観点から電線相互の間隔や他のケーブルなどからの隔離、接触防護措置(簡単に人の手が触れられないような安全対策)など基準が定められています。 主な基準項目を紹介させていただきます。

VVFケーブルの隔離

電気の性質上、電話線といった弱電ケーブルやガス管、水道管といった他の管との接触は避けなければなりません

ケーブルの支持固定方法と屈曲

電線が揺動しないように施設するためケーブル同士の距離や、支持固定する間隔が定められております

接触防護措置

電気設備の技術基準の解釈において、 接触防護措置・簡易接触防護措置について定義がされておりますので施工状況に応じて配慮が必要です。 人が直接触れないように配線場所を選んだり 安全施策が必要となります。
店舗内露出配線例

まとめ

長期間に渡り安全を確保するために、施工方法、工事方法に様々な基準が定められています。 繰り返しになりますが、電気配線の施工に不備があれば漏電トラブルの原因となってしまいます。 漏電から火事の危険性もありますので座学としての資格取得を前提に、現場で活用できる正しい知識とスキルを身につけて現場施工を行ってください。

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