日本全国で空き家の数が増えているというニュースや話題が問題になっていますね。住宅戸数が増え続ける一方で人口が減少傾向にあるのが最大の理由ですが、実は住宅をとりまく心理的な問題が意外と大きいのです。今回は空き家が増えるさまざまな理由と、放置することの問題点・デメリットを紹介します。
空き家の増加ペース
出典: 総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査
空き家を発生させてしまう心理的な問題
高齢者世帯が死没または転居してそのまま不使用状態になる、というのがよくある空き家の発生例です。ところが、こういった問題はいずれ自分の親が亡くなったりするタイミングで確実に訪れるとわかっていても、ふだんなかなか相談しなかったり、どうせ兄弟または子供がなんとかするだろうと、具体的な相談なしで楽観視しているケースが非常に多いのです。
次に死没や転居に伴い一時的に空き家になった住宅でも、仏壇があるから人に貸したくない、思い入れがあるので建て替えはしたくないという理由でなんとなく放置されます。とくに息子・娘がまだ働いていて本業が忙しいとか、あまり金銭的に困っていないとその傾向は顕著になります。
このように空き家問題は人口減少が大きな理由ですが、日常生活が忙しい、当事者意識の欠如、住宅への愛着など心理的問題も大きいのです。
出典: 地理 2015.7 古今書院
放置するとどうなるか?
ホームレスの寝泊まり、不良のたまり場に
空室が多いアパートでも起きることですが、ホームレスや不審者が侵入してそのまま寝泊まりする事例があります。別の例では不良のたまり場になる例もあり、室内を荒らされるリスクも。
出火・放火
さらに不良グループがタバコを吸ったりして火の不始末を起こしたり、放火されるケースもあります。
迷惑な「特定空き家」は固定資産税が高額に!
治安や放火リスク、外観上の問題から空き家は当人のみならず、地区や自治体にとってもやっかいな存在です。そこで平成27年2月に告示された空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特措法)によって、自治体が迷惑な空き家を特定空き家と指定し、一定期間内に建物を保全しなければ固定資産税額が高くなるペナルティが課せられるようになりました。
この法律では空き家とは1年間使用されていないことと定義されています。状態が良好な別荘や販売中の物件であれば「迷惑な空き家」とは認定されませんが、どのレベルから迷惑な空き家=特定空き家と認定されるかは自治体の判断なので、今後の運用を見るしかありません。
空き家にかかる税金は他よりも高い?
不動産を保有していると固定資産税、地域によって都市計画税が課せられます。実際に計算例として200平米・土地の評価額が1500万円、建物の評価額が500万円の不動産があるとします。
更地の場合
もしこの物件を更地にすると建物の評価額はなくなるので、固定資産税の標準税率は1.4%なので1500万円×1.4%=21万円が課せられます。
そのまま住宅として残す場合
住宅用地の固定資産税は1 / 6になります(住宅用地の特例措置)。したがって
- 土地 1500万×1.4% / 6 = 3.5万円
- 建物 500万 × 1.4% = 7万円
したがって固定資産税は合計10.5万円になりました。
※ ただし200平米を超えた分については1/6が1/3になります。
特定空き家になった場合
さて、ここからが重要です。もし管理を疎かにして特定空き家の勧告を受けてしまったら、住宅用地の特例措置の対象から外されてしまいます。
したがって
- 土地 1500万×1.4% = 21万円
- 建物 500万 × 1.4% = 7万円
合わせて28万円と最も高額な税金がかかってしまいました。
仮に特定空き家に指定されなかったとしても清掃の手間や保守サービスの利用、先ほど挙げたリスクを考慮すると空き家にしたまま放置する状況が最も経済的にデメリットとなるように制度が設計されています
より詳しいシミュレーションはこちらで行えます。
その他にかかる管理費用
空き家にした状態でもたまに訪れて状況をチェックする場合、ほとんど使わないにも電気・ガス・水道を契約したほうが都合がいいので使わなくても光熱費が毎月3,000円程度かかります。
そのほか、マンションの場合は修繕積立費・管理費が毎月15,000円程度発生します。戸建住宅も庭の雑草を抜いたり清掃費、巡回管理サービス等を使うとだいたい同じくらいのコストになります。また豪雪地帯では建物の倒壊を防ぐために雪下ろしが必要なのもコスト要因です。
したがって税金以外に空き家管理にはだいたい年間20万円前後のコストがかかるのです。
今後の課題
今後は空き家管理の支援サービス、空き家活用が民間・自治体の双方から活発化していくのが急務ですが、現状では空き家は負債になるリスクもありますし、今後改善されるどころかどんどん深刻化する恐れも十分ありえます。現状問題を抱えていなくても将来的な対策を検討することを推奨します。

