拡大する外国人向け賃貸入退去のリスクや制度について

大家さん向け

賃貸市場のパイが縮小する中、拡大しうるターゲットとして在留外国人が注目されています。一方で、外国人に家を貸すことに不安を感じる人が多いのが現状です。外国人向け賃貸のリスク・トラブルと対策についてまとめました。

拡大傾向にあるのは「高齢者向け」と「外国人向け」

国内総人口が減少に転じている中、縮小が予想される賃貸市場の中で拡大が期待できる分野が2つあります。それが高齢者向け住宅と外国人向け住宅です。この2つは今まで好況期には市場から敬遠されてきました。

高齢者向け住宅

身寄りの無い高齢者の場合、収入面で不安があったりもし室内で事故が起きたり孤独死が発生してしまうと事故物件として忌避されてしまいます。家賃が払えなくなって退去を迫ろうにもほかに当てもないわけですし、原状回復費が大家持ちになるリスクもあります。
もちろん必ずしも高齢者が経済的に不自由しているわけではないでしょうが、それにしても生活支援や安否確認、医療対応など、サポートサービスのノウハウも必要になります。

外国人向け住宅

日本に3ヶ月滞在している外国人は2014年6月末時点で208万人います。ただし約半数が特別永住者および永住者なので、実質的な人口規模で約100万人とそう多くないのが実情です。しかし留学生や単就労者は国としても受け入れを促進しているので、ペースはどうあれ今後割合が増加していくのは間違いありません。

外国人に貸すリスクと対策

大家さんが外国人に物件を貸すのにはだいたい次のような不安があるでしょう。

  • 言葉が違うのでコミュニケーションが難しい
  • 家賃保証、滞納リスク、無断帰国
  • 生活様式の違いによって部屋を荒らしたり、人を呼んで騒いだりしないか

今のところ多くのケースでは不動産会社が大学生協や紹介経由でやってきた外国人に会ってみて、コミュニケーション能力を含め入居審査をするのが一般的です。ポイントとなる支払い能力ですが、就労者の場合は源泉徴収票銀行の残高証明書を要求するのが一般的です。
留学生なら本国からの仕送りが把握できる送金証明書預金通帳コピーで判断します。
また、的確な在留資格を保持していることを確認しなくてはいけないので在留カードです。留学生の場合は在留資格は留学、就労者なら就労制限の有無で就労可能になっていることを確認します。

無難に始めるには

安全策を取る場合は留学生、とくに旧帝大への留学生がオススメになります。教育水準・本国での家庭の社会的地位も高い傾向にありますし、保証制度等も充実しているからです。

日本と外国の賃貸慣習の違い

一方、日本特有の商慣習が外国人に通じない場合もあります。最たる例が礼金です。日本人でも礼金がない物件を選ぶ傾向が非常に強くなっていますが、外国には礼金という習慣自体存在しないのです。借り手を選べる立場でないなら、礼金を0にしたほうがいいでしょう。

次に問題になるのが更新料です。これも諸外国にはないので、やはり「更新してやるのに感謝されるどころか金を払うとはどういうことだ」となります。更新料なしにすべきです。

結果的に家賃収入が減って困る場合はそれを考慮した家賃設定をすればいいだけです。

原状回復費

あとは退去の際に問題になるのが敷金から差し引かれる原状回復費です。概して諸外国に比べ日本の住宅は細かな傷やシミに非常に敏感なので、この程度でなぜ補修が必要になるのか、となってしまいます。
このあたりのことを説明して理解してもらうのが理想ですが、一度日本の住宅慣習について一通り理解できるガイドライン等を読んでもらうのが早いでしょう。

こういったガイドラインやホームページを読んでくださいと言うのが一番早くて楽です。

代表的なトラブルは?

騒音トラブル

ステレオタイプ的なイメージでは友人を集めて深夜まで騒ぐようなイメージですが、こういう騒音は実際のところそこまで多くないようです。ただ、日本のように過密な住宅に住んでいないことが多いので隣人への配慮が日本人に比べて足りない傾向があり、その結果電話の声がうるさいなどのクレームが入ります。
また、欧米系の外国人は本国の親族と電話する際に時差の関係で深夜や早朝になってしまいます。ただしこれはクレームが発生した時点で注意すれば済む問題なので大したことはありません。

勝手に改装する、使用状況が悪い

過去に聞いた事例ですが、カーテンを全て取っ払って物干し竿の代わりに使っていた留学生がいたそうです。(もしかしたら母国にカーテンがないのでしょうか)
カーテンレールにものをかけるのは日本人でもいますが、ガタついたり外れるリスクがあるので避けてほしいものです。

同居人が増えている

一時的なものでなく、いつの間にか友人を招いて居住しているようなケースです。これは本人が禁止されていると知らずにやっているケースが多くあります。転貸・同居人については契約時にしっかり理解してもらいます。

対策方法は?

ほとんどのケースでは契約時にしっかりと重要事項を理解してもらうことや、共用部の使用等に問題がないか巡回してチェックするなどの対策次第でリスクは小さくなります。国や業界団体が提供しているガイドラインも充実しているので参考にしてください。

統計的なデータでは家賃の滞納は日本人よりも外国人のほうが少ない傾向にあるそうです。収入や身元が確かなのに面倒臭がられて不動産屋から断られる外国人は未だに存在するので、まだまだ展開する余地はありそうです。

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