エアコンの取り付け方法を解説します。取り外しに比べ、失敗が許されない工程もありしっかりと構造を理解したり、知識が必要で難しくなっています。フレア加工、真空引きなど専門工具を使った工程も説明します。
取り付けの注意点
工程は専門工具を使うので、知識も必要です。とくにやり直しが聞かないのは真空引きの作業や配管の接続です。ここを理解せずに間違えると、室外機に入っている冷媒ガスが流出してしまい、エアコンが効かなくなってしまいます。もとに戻すには専門業者を呼んでガスを充填してもらわないといけません。
リスクや危険性を理解した上で自己責任で取り付けてください。
据付板の設置
壁にエアコン本体(室内機)を設置するために、まず壁に据付板を設置します。この際に十分な強度で固定できていないと、室内機が落下する事故につながります。
石膏ボードの場合、ボードにビスでつけるだけだとダメです。ボードの裏の柱(木下地)にビスが刺さらないと不安定なので、下地センサーなどを使って下地を探して下さい。
ただし、現実的に取付箇所が決まっている場合下地の位置と取り付け位置がうまく合わない場合がよくあります。その場合はボードアンカーを刺します。
据付板の位置決め
下地に穴開け
ボードアンカーを打つ
据付板を固定
これで据付板の取り付けが終わりました。次は本体を据付板に固定しますが、先に本体に電線をつないでおきます。
電線の取り付け
電線は本体と室外機をつなぐものです。室外機に電力を送るために壁の穴を通じて接続しますが、電線の両端は普通3色(黒・白・赤)の3本で構成されているので、これを基盤に差し込んでいきます。
絶縁体をむき出しに
電線を本体に通す
電線の先を皮むき
基盤に差し込んで固定
本体の取り付け
電線・配管・ドレンホースを室外に通した状態で、壁の据付板に室内機を取り付けます。
室外の配管の接続
テープで束ねる
粘土で穴埋め
銅管の連結
次にガス管・液管2本の銅管を外側でそれぞれつないで延長します。これは施工によっては室内でつないだものを穴から出したりしても構いません。今回は室内機と壁の穴が近かったので、短い状態で外に出して、外でつなぎ合わせるという判断です。
テープを巻く
接続が終わった2本の銅管、電線、ドレンホースはバラバラだと不格好だし雨ざらしになるので、配線カバーで隠すか配線テープで巻きあげる必要があります。
端が上に来ているということは、ここから雨水の侵入を受けるということなので、配線テープは必ず下から上に巻き上げます。
銅管・電線の長さを合わせる
室外機を所定の位置に置きます。今回は地面に置くタイプですが、マンションの場合は天井から吊るすタイプ、壁にかけるタイプなどもあります。置いたあとナットで固定すればいいのですが、天井に持ち上げるにはかなり重いので補助者がいたほうがいいでしょう。
室外機の脇にバルブと電源基盤があるので、先ほどつなげておいた銅管や電線をこれから室外機につなげます。
普通銅管・電線は長めに用意されています。室外機の位置が決まったら、必要な長さに合わせてそれぞれ切る必要があります。
電線を切る
銅管を切る
パイプカッターは銅管を挟み込んでくるくる回すことで、円形のカッターが少しずつめり込んで切り口を潰さずに切れる工具です。一周すると溝ができるので、この溝に合わせてさらに深く切ります。パイプカッターの調節ネジを回すと挟み込む間隔が狭くなるので回しながらネジを締めて、深く切っていきます。
フレア加工
切った銅管の切り口はそのままだとバルブにフィットしないので、切り口をラッパ状に広げる必要があります。これをフレア加工といいます。
先ほど外したフレアナットを銅管の先に通した状態で加工してください。
フレアツールにクラッチが効いていれば、加工ができたらハンドルが空回りするはずです。
液管・ガス管の両方でフレア加工を行ってください。
室外機のバルブにつなぐ
フレア加工が終わったら室外機のバルブに二本の銅管を接続します。
真空引き
これで銅管のつなぎ込みが完了しました。ただし、これだけだと接続した管の中に空気が入っています。このままだと稼働したとき冷媒に空気が混ざってしまいます。したがって必ず真空引きという作業を行い、中の空気・水分を追い出さないといけません。
サービスポートに接続
ゲージマニホールドの真ん中の黄色いホースを真空ポンプに接続します。
要約すると、ゲージマニホールドのLOW側のバルブを開放した状態で真空ポンプを稼働させると銅管内の空気と水分が抜かれ、ゲージマニホールドの圧力計がマイナスに振れます。
この状態で20分程度回すと配管内の水分と空気が完全に追い出された状態になるので、ゲージマニホールドのバルブを閉じてポンプを停止させます。
サービスポートからホースを外して、液側・ガス側の両バルブを六角レンチで全開(反時計回り)にすれば、銅管内に空気と混ざっていない状態で冷媒が流れるようになります。
真空引きの手順は難しいので、機会があれば別の記事で詳細に解説しようと思います。
電線の接続
室内機から伸びる電線を室外機に接続します。長さを合わせるために切ってあると思いますが、カッターで縦に切って絶縁体を10cmほど剥がしてください。
仕上げ
これでだいたいの工程は終わりです。

