石膏ボードの補修石膏パテを下塗り・仕上げ塗りで仕上げる

壁のリフォーム

丸く繰り抜かれた石膏ボードを石膏パテで元通り補修する方法を解説しています。電気工事などで電気屋さんが壁や天井に穴を開けたあと、それを内装屋さんがもとに戻す際の方法です。

今回の補修では繰り抜かれた石膏ボードの残骸を使って補修します。残骸がない場合は石膏ボードを用意して同じ形状を作ってもいいですし、アルミテープ、メッシュテープを貼って補修できます。

メッシュテープとアルミテープ

銀色のテープがアルミテープで白い網目状のものがメッシュテープです。
テープで穴を隠して、テープの上にパテ補修して使います。

メッシュテープ・アルミテープは今回使いませんが次回これを使った補修を解説したいと思います。

石膏ボードに穴を開ける

まず穴を開けます。それが終わったら穴を埋めます(マッチポンプです)。

石膏ボードは見た目のイメージと違ってけっこう脆い材質です。学校にあったチョークが少し固くなったぐらいの感じです。
だからカッター等で切ることができます。

石膏ボード

今回はダウンライトの丸い穴を想定して、丸く繰り抜いていきます。石膏ボードを丸くくり抜く専用工具もあるので、電気工事等ではそれを使うことも多いです。

実際は壁に対してカッターで石膏ボードに穴を開けることは少ないでしょう。ジグソーや小型ノコ等を使います。

下準備

補修の前に切り口のカスやめくれを削り取ります。この作業を面取り(めんとり)といいます。

カッターで

カッターで縁を軽く削っていくだけで構いません。

下塗り

パテには大きく下塗り上塗りがあります。それぞれで使うパテが異なり、下塗りは粒子が荒いもの上塗りは粒子が細かいものを使います。
溝を補修する際に先に粒子の荒いもので埋めてから、表面をさらに上塗りで均一にしていくわけです。紙やすりの荒いものを先にかけてから、細かいもので表面を仕上げるのと同じです。

また、粒子が細かいもので全て埋めてもいい気もしますが粒子が細かいと乾いたあとで堆積が収縮してパテが痩せるので、深溝にいきなり仕上げのパテを使ってもうまくいきません

逆にいえば下地の段差が小さければ上塗りから始めても構いませんが、今回の下地の溝は深いので下塗りから始めます。

下塗りのパテを作る

下塗りで使っているパテです。今回はニットーのVパッチ V2号を使っています。

防カビ剤入りです

いろいろなパテがありますがこの石膏パテは防カビ剤入りでオススメです。

不要なクロスの裏地に粉末を適量取り出します。あとは少しずつ水を加えます。パテのほうは袋から直接トントン出せばいいですが水は加減が難しいのでバケツに入れてからスポンジに含ませて、スポンジを絞ります

土手を作る

水を加える際何もしないと四方八方に水が流れるので、粉末を山のようにして土手を作り、水をせき止めます。

このくらいの粘度に

粉っぽければ水を、水っぽければ粉を足して調整し、完全に混ざり合った状態でこのぐらいの粘度になるまで混ぜます。

硬化剤を混ぜる

硬化剤を混ぜるとパテが早く乾きます。そこでパテを使う直前に硬化剤を混ぜます。

しろい粉

白い粉を適量(パテに対して2%程度)加え、粉が見えなくなるまで練ります。硬化剤を混ぜるとすぐに変質するのでなるべく早くパテをかけます。

ネタを仕込む

さて、パテを作ったところで塗っていきますが、今回は繰り抜かれたボードがある場合の補修です。これをうまくもとの位置に取り付けます。
そのためにはネタと呼ばれるボードの下地を作ります。適当な木材を用意します。

このようにボードの裏側にネタを入れました。

ネタを仕込む

実際の壁で施工する際は丸い穴から木材を入れた状態で片手で支え、ボードの上下を貫通させてネタをビスで固定します。

ネタにボード(残骸)をビス打ち

繰り抜かれたボードを仕込んだネタにビス打ちします。

ガガッと

ビスで打ち込むとガガッと音がして止まります。これが下地に効いているサインです。

4点固定

4点で固定しました。ビスの頭がボードから出てると駄目です。少し深めに打ち込んで凹んでいる状態にします。

下塗りのパテをかける

先ほど作った下塗りパテを適量パテ板にとってパテを塗っていきます。

深いところを

深い溝を重点的に埋めます。軽くかけただけだと表側は平らになっても中で空洞を作ったりするので、奥に刷り込むように何度かヘラを往復させていきます。

埋めた

パテをかけた直後です。まだ仕上げではありませんが、パテ板をかけた痕が残ったりしていないか注意します。

ヒートガンで乾かす

あとは硬化剤を混ぜた状態では3時間程度待てば乾きます。^1
ただ、今回は収録時間の都合で早く乾燥させたいので、ヒートガンという工具を使います。

ヒートガンを使う

これがヒートガンです。ドライヤーのように熱風が出ますが、圧倒的に熱量が違うので鉄を曲げたりする際にも使います。
火傷や周囲への引火に注意します

強制的に乾かした

強制的に乾かしましたが、溝とビスの頭の部分が黒っぽく色が違っています。これはまだ十分に水分が飛んでないことを示します。やはり理想的には時間をかけて乾かしましょう。

上塗り

下塗りが乾いたら次は上塗りです。下塗りは説明したように粒子の荒いパテなので仕上がった表面が荒くなっています。これにそのままクロスを貼るとクロス表面にパテのデコボコが浮いてくることがあります。

上塗りのパテを作る

上塗りには今回ニットーのライトパテを使います。これは下塗りとしても上塗りとしても使える使い勝手のいいパテです。

ニットーライトパテ

これも防カビ剤入りです。
仕上がりがとても滑らかになります。

土手を作り水を加え、完全に混ぜ合ったところで硬化剤を混ぜます。下塗りパテと全く同じ作り方です。

上塗りのパテをかける

下塗りした箇所にパテをかけます。このとき色が濃くなっている部分を念入りにかけると良いです。

色が濃い所

乾いたあとも色が濃い部分はパテが厚くかかっている=段差が深い部分です。ここをまずパテがけします。

サンダーで仕上げる

上塗りをかけたらまた乾燥するまで待ちます。
乾いてから、まだ表面が荒ければ2回目、3回目と上塗りを重ねていきます。

うまくパテをかければサンダーをかける必要はありませんが、必要に応じて微妙な凹凸はサンダーがけして仕上げます。

サンダーをかける

壁にサンダーをかけると下に粉塵が落ちてくるので、壁の下は養生しておきます。
サンダーの近くで掃除機のホースを近づけて吸いながら作業することもあります。

サンダーがけしたあと表面に粉塵が残ったら必ず乾いた布かダスター刷毛で拭きます。濡れ雑巾を使うとパテが緩んで来ます。

段差がなくなった

表面に段差がなくなれば完了です。

まとめ

いかがでしたか? 今回は繰り抜いた残骸をもとに戻す補修でしたが、次回は砕けてしまった穴を冒頭紹介したテープで補修する方法を紹介したいと思います。

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