第8回は今まで解説した知識を使って壁を貼ります。まず右側の壁からですが、これは入隅を1枚で巻いた貼り方を、続いて2枚目は下敷きテープを使って重ね切りしていきます。
入隅を巻いて貼る
巻く方法と切る方法を2つをやって説明したいので、最初のクロスは右から入隅で巻いて1枚で貼る方法で貼ってみます。
右側から押さえる
少し弛ませる
下まで貼る
真ん中で押さえる
シワが残ったとき
左の壁
角ベラで角を折りたたむ&しごく
地ベラで切る
廻り縁に合わせて地ベラを当てて切ります。
あえて端を残す
厚ベラと薄ベラ、どっちを使う?
なぜ厚ベラと薄ベラを気にするのでしょうか? 簡単な実験をしたのでこの写真を見てください。
薄ベラで切ったとき
厚ベラで切ったとき
例えば廻り縁と壁の間にかすかに隙間があると、隙間が見えた状態だとクロスの端が波打って見えることがあります。これは廻り縁が明るい色の木材だと特に目立つので、厚ベラで切って被せたほうがいいのです。
空気が目立つとき
これは今貼ったクロスがシワになったりしたわけではなくもともと貼ってあった下紙が糊の水分を吸って浮き上がってきたために起こる現象です。ローラーをかけておけば乾いたときに目立たなくなります。
乾いた後でも浮いてしまったときは下紙から浮いてきているわけなので注射器で糊を注入します。
糊を落とす
2枚目を重ね切りしてつなげる
次の2枚目は今貼った1枚目に対して重ね切り(あい裁ち、重ね貼り等)でつなげていきたいと思います。本来なら突き付けで貼れますが、あくまで練習用なので両方のジョイントを実演します。
下敷きテープを入れる
のり付け機械で同時に下敷きテープもつけられます。貼ったクロスの横で長さをとって、十分足りる長さで切っておきます。
下敷きテープを入れずに切る人もいますが、貼ったときは気づかなくても日が経つと下の紙まで切ってしまったがために継ぎ目が目立ってきます。
カットテープのついた2枚目を重ねる
このカットテープは先に貼ってある1枚目の表面に糊をつけない役割があります。
耳を避けてちょうどいい位置で押さえます。
中からしごく
しっかり貼れたら上下の縁を角ベラでしごきます。
重なりを切る
重なりを切ります。このとき何度も言うように下敷きテープを切ってはいけません。下敷きテープは下地を保護するためのもので、重ね切りしたときにカッターが下敷きテープに到達したときに音や手応えでそれを知らせるものです。下敷きテープを切らず表面に重なった2枚だけを切ります。
切るときは端から5mmとか1cmとか自分で見て地ベラを動かしたときに線が曲がらないよう気をつけます(けっこう難しいです)。
カットテープ、切れ端を剥がす
これでこのクロスはそのまま継ぎ目を合わせれば綺麗に合致するわけなので、このあと剥がして位置を変えたりしてはいけません。
継ぎ目を合わせる
あとは継ぎ目を合わせますが、継ぎ目を合わせる上で一番注意しなければいけないのは継ぎ目が重なって段にならないようにすることです。
このローラーには継ぎ目同士を圧着して位置を押さえるという意味もありますが、クロスの糊が縁から逃げることで継ぎ目部分の糊が必要最小限の薄さになります。すると継ぎ目から乾くので後から継ぎ目が割れづらいのです。
これが逆に継ぎ目が乾く前にクロスの真ん中のほうが乾いていくと乾くときに材料が縮むので継ぎ目が動いて結果的に割れてしまいます。
重なっていれば一度継ぎ目を開くように力を加えてクロスを下ろした後、再び継ぎ目を閉じるように力を加えて戻します。
地ベラで上下を切る
地ベラで切った線の段差
厚ベラで切ってめくれている部分がクロスごとにごくわずかでもずれていると線に段差ができて見えます。
これも線が揃っていたほうが仕上がりがよく見えるので段差を作らないようにします。
段差ができたときは…
地ベラを当てるとよく分かりますが、地ベラで押さえた部分で白いクロスの線が見えたり見えなかったりしています。
線が揃ってないということなので、地ベラで隠れていない部分はカッターで切ります。
まとめ
今まで解説した基本を応用して壁に2枚のクロスを貼りました。厚ベラと薄ベラの使い分けや0.1mmレベルで同じ幅でめくれている仕上がりは本業の職人でも仕事に差が出る部分です。何度か練習してみてください。

