エアコン(室内機・室外機)の撤去・取り外し方法を解説

設備の取り付け

エアコンと室外機の取り外し方について解説しています。誤った取り外し方では室外機は最悪の場合爆発して事故につながることもあり危険です。正しい知識を持って作業してください。

エアコンの構造・基礎知識

エアコンといえば室内にある壁掛けの機械をイメージされると思いますが、通常製品は室外にあるプロペラが付いた室外機とセットで販売されています。したがって廃棄する際も室外機と室内のエアコン本体の両方を取り外します。

室外機とエアコンをつなぐもの

室外機とエアコンの図

大雑把に言えば室外機とエアコンは細管(液管)と太管(ガス管)^1の2本の配管でつながっていて、室外機から圧縮した冷媒ガスを細管から送り込み、エアコン本体でそれが気化することで気化熱を奪って室温が下がります。
今度は気化したガスが太管を通って室外機に戻ってきます。気化したから膨張して体積が大きくなり、戻りの管は太くなっているのです。
再び室外機で冷媒を圧縮して循環していくという仕組みになっています。

したがってエアコンの取り外しではこの2つの配管を取り外すことになりますが、循環しているガス(フロンガス)が流出しないように手順が決まっているのです。

室外機の取り付け位置

住宅にある室外機はベランダや地面にあるタイプベランダの天井から吊るすタイプの2つがほとんどでしょう。
上から吊るタイプも室外機としては同じですが、脚立に乗って作業します。室外機を外して降ろすときに下で補助が必要なので、一人で外すのはかなり難しいでしょう。
仕組みは同じなので、今回は地面にあるタイプで解説を行っていきます。

上から吊るタイプ

このような吊ってある室外機は脚立に乗って作業を行います。
マンション高層階だと危険性が高い作業です。

ポンプダウンの方法

ポンプダウンとは

循環しているフロンガスを室外機に押し込めるため、次の手順で作業をしていきます。一連の作業をポンプダウンといいます。

  • 冷房をつける
  • 細管のバルブを締めて、室外機から冷媒を送らないようにする
  • 本体に残ったフロンガスが戻ってくるのを待つためそのまま運転する。その後太管のバルブを締める

これを行わないと配管を取り外したときにプシューッとフロンガスが漏れ出します^2。漏れるとエアコンは使えなくなりますが取り外して廃棄する場合がほとんどだと思うので実際のところデメリットはあまりありません。しかしフロンガスはオゾン層を破壊するため、回収義務があります。

バルブのキャップを外す

レンチでキャップを外す

レンチで左回り(反時計回り)に回します。古いと固くなっていることもありますが人の力で開くはずです。
ガスの閉じ込めが甘くなっているとキャップを外した段階でプシュッと音がすることもあります。

両方を開く

2つあるバルブの両方のキャップを外しました。
このキャップはあとで取り付けるので保管します。

細管のバルブを締める

2つの配管には開け閉めするバルブがあり、運転できる状態だとどちらも開放されています。
冷房を運転させた状態で、細管のほうのバルブを6角レンチで閉めてください。

レンチで閉める

矢印の方向、つまり時計回りに回せば閉まります。

冷房を止めて太管を閉める

閉めた後10秒程度待つと室外機の音が少し変化していくのが分かります。これがガスが戻ってきているサインです。冷房を止めて太管を閉めます。

太管を閉める

これも同じように右回りで閉まります。

これが終わり次第エアコンのコンセントを抜いておきます。今後作業中にエアコンの電源は入れません。

室外機の撤去

台座があれば電ドラでビスを外す

台座から外す

地表に対して台座で固定されていれば固定しているビスやナットを電ドラ等で外します。

電源コードを切る

室外機の側面にエアコンから電力が供給される電源コードがあるのでこれを切ります。エアコンのコンセントが抜かれ、本体・室外機が動作していないことを確認して下さい

電ドラでカバー外す

側面にコードが伸びているのが分かります。電ドラでカバーのビスを外します。

電源コードを切る

電源コードが3本基盤につながっています。これをニッパーで切ります。

導管を外す

ポンプダウンを終えて管のバルブを閉めたらつながっている配管を外しても大丈夫です。

レンチを使って上から見て左回り(反時計回り)に回せば外れます。
ポンプダウンを行っていても多少はガスが漏れるような音がしますが多少はやむを得ません。
古いものだとかなり固くなって外せない場合もあります。パイプカッター(下で説明)を使うのも手です。

キャップをもとに戻す

キャップを戻す

取り付けておいたキャップをもとの位置に戻します。

粘土を取る

壁から抜けるように

細管と太管は普通テープで束ねて1本にまとまっていることが多いです。壁の穴と動管の隙間に対して粘土が詰めてあることが多いので、粘土を剥がします。

テープを剥がす

テープを剥ぐ

室内のほうでぐるぐる巻きにされているテープを剥がします。テープでまとまっていた動管が2本露出します。

レンチで接続を外す

配管を外す

レンチを2本使って室外機同様外します。

固くなっていると

ただ、古いと固くなってびくともしないことがあります。無理やり外そうとしても怪我するので、その場合このようなパイプカッターを使えば簡単に切れます。

ドレンホースを切る

ドレンホースを切る

よく見るとぐるぐる巻きにされた配線に塩ビのホースが入っているはずです。これはドレンホースといって、エアコン内部で生じた水を室外に排出する役割があります。これは室外機につながっていません。
これはカッターで切ってしまいます。

本体の撤去

以上で本体を取り外す準備ができました。

脚立に乗って本体を持ち上げれば簡単に外せます。
脚立の下で手伝ってもらって片側を持ってもらうといいでしょう。

金属板を外す

エアコンは壁の金属板にひっかけて取り付けてあります。これを据付板(すえつけばん)といいます。
これも本体ごとに専用のものがあり、新しくエアコンを買えば新しい金属板を使うことになるので撤去します。

電ドラで据付板を外す

電ドラで据付板を外します。4ヶ所ほどビス止めされているはずです。

ホコリをはらう

ホコリをはらう

エアコンに隠れて長年溜まったホコリやゴミが壁についているので軽く拭き取ってやります。

エアコンの部分だけ色が違いますが、これは色あせではありません。エアコンがつけられた状態で過去にクロスの貼り替えを行ったので、この部分だけ新しいクロスがないのです。
このあと新しいエアコンをつけるのでだいたいは隠れて見えなくなりますが、古いものから新しいものに交換すると小型化することもあるので足りないクロスが見えてしまうこともあります。
新しいエアコンのサイズを確認して、クロスを補修する必要があればこの時点で貼っておきます

配線を撤去する

外側から引っ張る

エアコン本体から配管・コード類をすべてはずしたら外からこれを引っ張り出します。

丸めて捨てる

コードをぐるぐると丸めて捨てます。

まとめ

以上でひと通りの作業は終了です。繰り返しですがエアコンの撤去には専門知識が必要で間違えると大きな事故につながることがあります。撤去したあとのエアコンにはリサイクル義務があるのでそれらの手間も考慮すれば専門業者にやってもらうほうが早いでしょう。地域・業者によりますが1万円前後程度が相場のようです。

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