本襖の張り替え方を動画付きでプロが解説しています。襖にはいくつか種類がありますが本襖は竹で組まれた本格的なものです。大雑把には枠を外して紙を剥がさずに上から新しいふすま紙を貼ったあと、枠を戻すという流れになります。
襖の種類
襖にはいくつか種類がありますが、代表的なところで今回扱う本襖(ほんぶすま), 段ボールが下地の段ふすま(だんふすま,だんぶすま), ベニヤが下地の板ぶすまなどがあります。
今回扱う本襖は竹の枠組に専用のふすま紙を貼り、周囲に枠を組み込む正統な襖です。そのため年季が入ったものが多く、古いと枠が歪んでいたり釘を受ける穴が広がって釘が効かないことがしょっちゅうあります。
また、教科書的には茶ちり紙で下貼りを行ってからふすま紙を貼るのですが、下地によりますが現実的には貼らなくても大丈夫なことが多いので、現場では穴が開いていたり下地が目立つ紙でなければ飛ばすことが多いようです。
そういったところを中心に現場のプロが日常的に行っている作業を解説していきます。
枠を取り外す
まず本襖の枠を取り外しますが、順番は左右を外してから上下を外します。本体から釘が出っ張っていて左右の枠はこれに引っかかって付いています。枠をスライドさせれば本体の釘から外せるようになります。
上下は枠から本体に釘止めされているので、引っ張りながらバールなどを差し込んで外してください。
ふすま紙を用意
作業台を用意してその上にふすま紙を乗せます。
その上に襖本体を乗せます。
鉛筆で線を引く
下貼り(必要に応じて)
この段階でふすま本体に穴が開いていたり、次に貼る材料が下地が目立つようなものなら下貼りという工程が必要です。茶ちり紙という専用紙を貼りますが、今回は前述の通り下地も悪くないので省略します。職人にもよるでしょうが、現場ではあまり貼らないことが多いようです。
糊付け
今回は外糊と中糊という2種類の糊を用意します。ちなみに周辺に糊を塗って中央には塗らないで張らせることを袋貼りといって、下貼り紙を貼る際は袋貼りにします。
外糊(そとのり)
まず先ほど引いた線にそって外糊と呼ばれる濃い糊を塗ります。専用糊もあるのですが、今回はクロス用のウォールボンドを使っています。
糊は均等に塗るのがポイントです。ところどころかすれたり、濃淡が出てはいけません。刷毛の扱いは簡単そうでけっこう難しいので少し練習した方がいいでしょう。
刷毛を使うコツ
刷毛を使うときはまっすぐに奥から手前に引くのではなく、少し斜めに刷毛を引くのがコツです。
そしてある程度塗ったらくるっと刷毛を返して今度は逆向き(左上から右下の方向に塗ったら、今度は右上から左下の方向に塗るということ)の斜めで塗ります。
中糊(なかのり)
外糊が終わったら今度は中糊を中央に塗っていきます。
中糊はウォールボンドを水で10倍に薄めたものです。つまり水:ウォールボンドが9:1です。
少し糊を含ませることで乾きを遅らせることができます。すると外側が先に乾いて後から中のほうが乾いてくるので綺麗にピンと貼るのです。
逆に外が固まる前に中のほうが乾いてくるとよじれたり外側が動く原因になります。
ふすま本体を乗せる
糊を塗ったらふすま本体を上に乗せます。当然ですが新しく貼る面を下にします。意外と貼る面を間違えることが多いので注意します。
襖の厚み部分に巻いていく
余りをカットする
この余りはいらないので定規で切り落としますが、切った後で巻くのでツラで切らずに約1cm残してください。
釘に合わせて切る
角をテープで止める
張り終わった直後と2日後
直後
2日経ったあと
張ってから2日ほど経った同じ本襖です。
枠を戻す
枠を戻すときは外すときの逆で上下を先にとりつけて、あとから左右を取り付けます。
上下の枠
同様に下の枠も取り付けて上下が取り付け終わりました。
左右の枠
ビスで補強する
本襖は古い住宅で使われていることが多いため、本襖本体も古くなってとくに枠組がガタガタになっていることがよくあります。
そこで現場では枠が外れないように枠から本体にビスを打って固定することがあります。釘が使われていることも多いですがビスのほうがひっかかるので強度が高いです。
引き手を取り付ける
張り終わり
張り終わりました。
このやり方は厳密には正しいやり方でない部分が含まれているのですが、現場ではたいていこのように張り替えを行っています。参考にしてみてください。

