第4回はクロスの裁断とのり付けを説明していきます。職人は通常糊付け機という大型機械で糊付けから耳のカット等を行いますが、機械がない場合でも糊を手付けする方法を紹介します。
クロスの耳について
クロスには「耳」と呼ばれる余白のようなものが存在します。この耳は色が抜けよれているので最終的に貼ったときには切り落とす必要があります。
切り落とすタイミングは2つの選択肢があります。1つは糊付け機で糊付けと同時に切り落とす方法です。
1. スリッターで耳を落とす
スリッターとは糊付け機に取り付けて糊付けと同時に耳を切り落とす機械です。
材料を用意した時点で耳が落とされているので、クロスの端同士をちょうどに合わせる突き付け貼りが可能です。
ただし柄物のクロスは突き付け貼りができないので、この方法で落とすことはできません。無地のクロスを機械で貼る際に使える方法だという点に注意してください。
2. クロスの端を重ねて貼って、重なった部分を耳ごと切り落とす
耳を付けた状態で糊を付け、壁に端を重ねて貼っていって最後に重なりを切る方法です。
これを重ね切り, 重ね貼り, あい裁ちなどといいますが詳しくは次回説明します。
まとめ
まとめると、機械がない場合および機械があっても柄物のクロスを使うときは糊付けの時点で耳は切りません。無地のクロスに限り機械で糊付けするときに一緒に耳を切ります。
裁断する
ここではまず手で裁断する方法を紹介します。
糊付け
材料を裁断したら、作業台の上にクロスの裏面を上にして糊を塗ります。
刷毛で塗る
刷毛の正しい扱いは実は結構難しいのですが、まず周辺を均一に塗ることから始めてください。
ローラーで塗る
職人が糊を手付けする場合刷毛で全て塗るのが基本ですが、刷毛の扱いに慣れていないと時間がかかるので周辺を塗り終わったらあとはローラーでまんべんなくつけると早いです。
糊付けの際のポイントですが、糊の水分をクロスがどんどん吸い込んでいくので必ず重ね塗りします。初めて糊を塗る場合はかなり多いかなと思うくらいがちょうどいいかもしれません。
クロスをたたむ
糊を塗ったらクロスをたたみます。糊の面を合わせて乾燥を遅らせる効果があります。
袋に入れる
機械で糊付けする
もし内装屋さんに機械を借りられるなら使いましょう。機械がない場合でもあればどれだけ楽かが分かります。
クロスをセット
クロスを機械に通す
スリッターの調整
糊の調整
糊の量ですが、まず糊付けしてから時間を置いて貼る場合は多少乾燥してもいいように多めにします。また、天井に貼る材料も糊を多めにしたほうが貼りやすいです。
この機械はダイヤルが左右それぞれ5段階で調整できるようになっていますが、案外ダイヤルの調節が正確ではないのでダイヤルよりも芯に付いている糊の山の高さを見てください。これは左右で均一になっている必要があります。
実際に糊の山を見て調整すると左右のダイヤルの値が異なることもありますが、それで構いません。
機械に挟む
パネルでコントロールする
次回説明しますがクロスの左右にテープをつける場合も機械にセットすればテープ付けもできます。
耳のカット、テープ付け、糊付けがとても楽にできます。
これで必要な材料を糊付けして用意できました。材料は普通貼る前にまとめて用意して袋に保管します。
次回は今回少し登場した突き付け・あい裁ちといったジョイントの方法とテープについて説明したいと思います。

