クロスの貼り替えを解説しています。今回は剥がしと下地処理についてです。パテの処理が甘いとクロスを貼ったとき、表面に微妙な線や凹み、段差ができてしまいます。
今回使っている道具
- カッター 中刃・小刃などサイズを用意するとベスト
- スクレイパー クロスが剥がしにくいときに便利
- パテ板 パテを取り出して乗せます
- パテベラ 大小の2つを用意すると良い
- 水性増改用パテ 今回は一種類のパテしか使いませんが用途に合わせ複数使い分けます
クロスを剥がす
これからクロスを剥がしていきます。剥がしづらい時にクロスを剥がさずに上からパテ処理して貼っていくこともありますが、貼り替えでは剥がすのが基本です。
剥がす前に1枚大きな紙を用意して床に敷いて、この上に剥がしたクロスを乗せていくことをオススメします。
継ぎ目を見つける
継ぎ目が見つからないとき
天井や継ぎ目が見つからないときはクロスの表面を切ってそこから剥がします。
カッターで継ぎ目を起こす
引っ張る
入隅の後処理
次回以降で詳しく説明しますが、入隅はクロスを切ってつなげている場合と1枚のクロスを巻いて貼っている場合があります。
クロスを切ってつなげていた場合
クロスを1枚で巻いて貼っていた場合
剥がしたクロスの処分
始めに大きい紙を1枚敷いておくことを推奨しましたが、そうしておけば片付けるとき下の紙を丸めていくだけでゴミがコンパクトになります。闇雲にゴミ袋に入れていくとかさばって体積が大きくなるので、小さく丸めてからゴミ袋にいれたほうがいいでしょう。
ビニールクロスは事業者は一般ごみとして捨ててはいけません。ただし個人の場合は事業ゴミとして捨てるか、細かく切って一般ごみ(燃えるゴミ)とするか自治体ごとに異なるので自治体ホームページを参照してください。
浮きの確認
裏紙とその下の下地がしっかりくっついているかチェックします。これは以前のクロスを貼ったときに糊付けしているので時間が経って裏紙が下地から分離することがよくあります。
下地から剥離した裏紙の上に新しいクロスを貼ったらどうなるでしょうか? 新しく貼ったクロスが裏紙ごと浮いてしまうのです。それだといくら丁寧にクロスを貼ってもどうしようもないですよね。
そこで、浮き上がった裏紙は部分的に剥がす必要があります。特に下地の石膏ボードの継ぎ目付近が要注意です。ボード継ぎ目はパテで段差が埋めてありますが、パテに対して裏紙の糊の付きが悪いことが多いためです。
下地の処理
下地処理とはクロスを貼る前のファンデーションのようなもので、新しいクロスを貼る前に貼付け面を一度まっ平らにするという作業です。仮に壁に穴が合いていたり段差がある状態でクロスを貼ると貼ったあとで表面がボコボコになってしまいます。
均すわけですから亀裂が入っていたら亀裂を治すし、凹んでいたら凹みを埋めます。それぞれの補修用でテープやパテを使い分ける必要があります。
今回は亀裂や穴、溝はないので下地処理がいらないように思えるかもしれません。しかし写真を見てください。
実はこの裏紙がある部分とない部分の段差にもパテをかける必要があります。裏紙の微妙な段差を埋め、裏紙の端を押さえる2つの意味があります。
それではパテを用意してパテがけしていきます。
水性増改用パテ
クロスの下地処理で使うパテは多くの種類があるのですが、今回は1種類しか使っていません。下地の状態を見てどのパテを使うべきかは職人の経験にもとづいて現場ごとに判断します。クロスのパテに関してはまた別の機会で本格的に解説したいと思います。
パテベラで塗りつける
失敗例
パテを塗ったとき、パテ表面にパテベラで跡を残さないように注意することがポイントです。パテベラの端がパテの表面にあたって線を残すとクロスを貼ったときに微妙な跡が上に浮かんでしまいます。
これで下地処理まで終わりました。次回は必要なクロスを準備するにあたって壁ごとにどのように貼るかの計画を立てていきたいと思います。

