施工前
この白い柱の部分はどうやら日曜大工で作成された軒のようです。部分的にビス止めがされていなかったり強度が不十分で危険な状態でした。
全て取っ払って施工することも検討しましたが、時間やコスト、施主の希望によりこの形をなるべく残して補強するようにします。
波板は金属のモールで止めてあり、モールは釘で下の木材に固定されています。
下の構造は鉄骨と木材が組み合わさってできていました。
波板の撤去
まず古い波板を外します。
留め具を外す
波板を固定する留め具となっている金属棒を外します。この固定棒がない波板もあるので、その場合は飛ばしてください。
バールで留め具を外します。手前側は脚立に乗れば届きますが、奥は協力してもらって別の人が屋根側から外したほうがよいでしょう。
屋根側から外すとき波板本体に足をかけると危険なので、下地の柱が来ている部分を踏むようにしつつなるべく重心を屋根からずらさないようにします。
波板を外す
上の金属棒を外すとビスや金具で止めてあるだけなのである程度持ち上げることができます。
下の柱にビス止めされているところはバールで持ち上げるか、上から釘抜きでビスや金具を抜いていきます。
状態の確認
下地の状態
下地が見えました。鉄骨の枠の上に木材を並べているだけです。この木材はビスが打てるだけまだ生きていますが、下の鉄骨との固定が不十分なのでビスで止める必要があります。
今回はこの木材を活かしてこの上に新しい受け材をビスで止めていくことにします。
波板を置いてみて位置関係を確認します。このとき重要なのは受け材と波板が何cm手前に出ているかと、受け材同士の間隔です。
波板が何cm出ているかを誤ると風が吹き上げたり雪の重みで波板が壊れるので注意です。
受け材同士の間隔
今回は幅が1m10cmの波板を使用しました。一般的なものは60cmほどでこちらのほうが受け材に留めやすいのですが、ホームセンターでこのサイズのものが安かったので使っています。
軒の横幅が740cmで波板は重なりも考えると8枚使うことにしました。110×7=770で30cmだと重なりを考慮すると足りないと判断したためです。
そうすると740cm÷8=92.5cmで波板を貼っていくことになり、110-92.5=17.5cmほどが波板が重なることになります。この重なりが小さいと雨が侵入するなどの問題がありますが大きい分には問題ありません。
92.5cmの間隔で波板を取り付けるには、まずその間隔で受け材が配置されていないといけません。あとは92.5cm間隔だとあまりに受け材の間隔が広いので、仮置きした見た目を考えながら間に2本受け材を入れることにしました。
したがって92.5cmの幅の中に4本の受け材を並べるので、受け材同士の間隔は約30cmになります。
ただしこの計算はあくまで横幅110cmの波板を7m40cmの軒に貼るケースですので、まずは屋根の幅と使う波板の幅から重なりの余裕を見て何枚の波板を使うか、屋根の幅を波板の枚数で分割するとだいたいどのくらいの間隔になるか、その間隔で受け材を入れると間に何本加えると良いかを順番に考えていきましょう。
さらにこの間隔はあくまで参考で、実際は受け材を下のネタに貼れる位置に少しずらしたり調整しながら貼っています。
下地の補強
不安定な下地の木材を鉄骨に固定します。
この上の木材を固定するものが何もないので、手で動かすとガタガタと動きます。
ドリルで穴開け
下の鉄骨部分から上に向かってビスで固定するため、鉄骨にビスの穴を開けます。
ビス止め
穴を開けたら鉄骨を通って木材を貫通しない長さのビスを打ちます。
受け材の設置
防腐処理
受け材は通常の角材を使いますが、このままだと色合いがあわないのと時間が経つと腐ってくるので、防腐剤を塗ります。
バケツに防腐塗料を少し出してローラーにつけて塗ります。あくまで防腐剤なので多少ムラが出ても問題ありませんが、気になる場合はローラーで二度塗りしたり、塗りすぎた部分をウェスで拭き取ります。
ビスで固定
二本目以降は測って割り出した間隔を測って貼ります。ただ、実際はこの間隔を正確に測ることよりも必ず受け材同士が平行になるように、手前と奥で間隔が等しいことが重要です。
さらに手前の突き出している長さも測って一定にしてください。
手前に補強材を入れる
つきだした受け材に対して手前で一直線に角材をビス止めして補強します。
この補強材がないと下からの風が拭きあげると波板が外れたりする恐れがありますが、波板を補強材にもビス止めすれば風に対して強度がぐっと高まります。
波板の貼り付け
受け材に対して波板を重ねて上から金具で止めます。
金具によってどこを支えて打つとネジが入って行きやすいか違うので、打ち込みやすい持ち方を見つけてください。
波板の奥の方は屋根側から貼り付けることになりますが、波板に乗って作業する場合はこのように板材を並べて体重が分散するようにします
今回は受け材それぞれに6個ずつ金具をつけています。軒先側の補強材の部分にも金具がまたがっています。
柱の補強
受け材を乗せたことで屋根が重くなっているので、もともと不安定だった柱に適当なパイン材を合わせて強化します。
柱と同じ長さの木材を用意