クロス・壁紙の張り方(貼り方)クロスの切り方、貼り付け、仕上げ

壁紙(クロス)の張替え

プロ向けに、クロス・壁紙の張り方(貼り方)を解説しています。今回は下地処理後、必要なクロスの長さを測定し切断機で準備し、貼り付け、発生した浮きに対処するところまでです。

クロスを切る

切り出すクロスの長さを測るために、まず壁や天井の高さや長さを測ります。

壁や天井をどのように分割して貼るか(割り付け)には抑えておくべきルールがあるので注意してください。
例えば入隅を連続して同じクロスで貼ると入隅が曲がっているときに見た目が悪くなったり、地震などの衝撃でよれてしまうことが多いので入隅ではクロスを分断(クロスを殺す)したほうが良かったり、基本的に右から縦に貼っていく、縦と横を組み合わせて貼らないなど、気をつけることがあります。
ケースバイケースで職人が考える必要があります。

長さが分かった部分から糊付け機を使って糊付け+裁断します。

クロスを出す

クロスはロール状になっています。包装紙を剥がします。

糊付け機でクロスを用意

機械を使えば糊付けと同時にクロスの耳を落としてカットテープを付けることができるので、職人にとっては必須の道具です。

クロスの付箋

切ったクロスの長さがわからなくならないように、いらないクロス(耳など)を細かく切って付箋にしてメモに使います。

クロス袋

作業中に必要なクロスとその他のゴミが混ざってしまわないように、クロス袋に入れてまとめます。
ビニールクロスはたたんで袋に入れておいても意外と折れ曲がりに強いので、神経質にならずにたたんでしまって大丈夫です。

クロスの表面に糊がつかないように気をつけてください。

クロスを張る

貼り付けは天井から行います。

クロスを貼っていく方向(横)に移動するために足場台を用意しています。

張る直前にクロスの両端のカットテープを剥がします。ちなみにカットテープには耳が乾かないようにする、異なる色同士を連ねていって天地をあわせる、などの目的があります。

貼り付けには(1)突きつけ張り(2)重ね張りがあります。

突きつけ張り

突きつけとは、貼っていくクロス同士の継ぎ目を重ねずに、ぴったり合わせる貼り方です。

写真のように、右に貼ってあるクロスに対して次に貼るクロスをあわせます。
基本的な張り方になりますが、突き合わせ方が半端だとクロスの継ぎ目として残ってしまいます。

糊を吸い込んで膨張したクロスが乾燥すると貼り付けた時より若干縮むので、乾燥してから継ぎ目が出ることもあります。

重ね張り

重ね張りはクロスの継ぎ目を少し重ねる張り方です。重ねてから、カッターで重なった部分を切って耳と落とします。
柄物のクロスはスリッターで耳を落とさずに、重ね張りすることで柄をあわせることができます。

図のように、重ねた部分に対してヘラを当ててカッターで直線に切ります。すると内側の壁紙と外側の壁紙両方でクロスの端が切断されます。図の青い部分が切断された耳です。

切ったらクロスを剥がして青い部分にあたる耳を抜き取ります。
また、下地に当ててクロスを切るときは下地にキズをつけないことが重要です。下地にキズをつけるとそれがクロスの継ぎ目となって目立ってしまうことがあります。
そのためちょうど下のクロスまでを切る加減が重要ですが、ジョイントテープを使うと便利です。

ジョイントテープは下地に接するクロスの耳に貼るテープで、カッターで上から切った時にジョイントテープまで切ると音で分かるようになり下地まで切らずに済みます。

あとは上からクロスを切ります。





ローラーを使ってクロスの継ぎ目をあわせます。

撫でバケで空気を抜く、シワを伸ばす

撫でバケを使い、クロスと下地を密着させます。空気は中央から外側に逃がしていきます。シワや空気を残さないようにします。
クロスの材質や下地の状態によっては撫でバケよりヘラなどを使って強力に圧着させないと空気が逃げないことがあります。
貼り付け時点では多少の空気が入っても、時間が経って糊の水分が抜けると体積が減少しクロスが張っていくのですが、下地の状態・クロスの材質などによって変わってくるので感覚でつかむしかありません。

ローラーで圧着させる

ローラーを使ってクロスを下地に圧着させます。

下地への圧着が不十分だとあとからクロスが浮く原因になります。
突きつけた継ぎ目部分はとくに入念にローラーをかけてください。

竹ベラで隅を作る

美観のため、剥がれにくくするためには入隅や巾木などの枠に対してクロスがしっかり貼れていることが重要です。したがって竹ベラでなぞって壁際の隅をつくります。

竹ベラの先はある程度丸みを帯びています。ヘラを当てて角を作ることもできますが、地ベラの先は鋭利なのでクロスを痛めてしまうことがあります。

ちなみにこの竹ベラは反対側がカッターナイフになっているオリジナルのものだそうです。

クロスを切る

クロスを張ったら余分な部分をカッターで切ります。

地ベラを当ててガイドにします。カッターで切ったらヘラを少しずつ動かして少しずつ切っていきます。

隙間にはジョイントコークを塗る

入り隅はどうしても小さな隙間ができてしまうことがあります。
その場合隙間にはジョイントコークを塗ります。





ジョイントコークを塗ったら布で上から拭き取り、余分な分を落とします。

目立つシワや空気への対応

クロスにできた小さい空気は時間が経てばある程度引きます。しかし大きいものだと裏紙と下地の接着が足りないことがあります。
数日して引かない場合は注射器を使い、内部に糊を注入します。

注入した糊が多すぎると逆に糊の分盛り上がってしまうので多すぎず、注入した後はローラーで均します。糊は薄めないでください。

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