【詳解】ネジの選び方長さ・材質・形状をどう選べばよいか?

資材

実際にネジを使おうと思っても種類がありすぎてどの種類のものを使えば良いのか分からない方のためにネジの種類と用途をまとめてみました。

ネジ・ビス・ボルトの違いとは?

ネジには一般的にネジ山が外側にある雄ネジネジ山が内側にある雌ネジで分かれており、これらをかみ合わせることによって目的の材料を締結させることができます。特に、ネジの中でも先端が尖っている小さな雄ネジをビス、また内面に螺旋状の溝があるナットと組み合わせて用いるものをボルトと呼ぶこともあります。

ネジ用語

ネジ切り加工

職人の間でよく使われる「ネジを切る」という言葉ですが、これは雄ネジと雌ネジをかみ合わせるためのねじ山を作るという意味で使われます。特に、雄ネジを切るときにはダイスと呼ばれる道具を使い、雌ネジを切るときはタップと呼ばれる道具を用います。

ネジの材質の選び方

ネジにはいろいろな材質があり、材質によって強度や特性が変わってきます。したがって、用途に適した材質を選ぶことで、完成品のクオリティーを最大限に上げることができます。

一般的に使われている素材で、材料費や製品単価が安く、加工も容易なのが特徴的です。しかし、鉄はさびやすいので、水周りや屋外で使用する場合はあまりオススメできません。

ステンレス

鉄と同じく一般的な素材で、加工技術の向上により以前よりも加工が容易になりました。また、ステンレスはさびにくい特徴があるので、水周りや屋外での使用に適しています。しかし、ネジの摩擦によって、雄ねじと雌ねじが膨張することによって密着し、動かなくなるかじり(焼付き)と呼ばれる現象が起きることもあり、その際は潤滑油を入れることで防ぐ必要があります。

アルミニウム

軽量で腐食に強い素材なので装飾として用いるものや、車のホイールなど用途は多岐にわたります。ただ強度が比較的弱いので強度の必要な箇所には適していません。

チタン

近年注目を集めている素材です。化学的に安定なので人体に優しく、重さの割に強度が優れているのが特徴的です。実際にはめがねや航空機の部品に使われていることが多いですが、希少な素材なので価格はやや高めとなっています。

樹脂

樹脂は頻繁には使われていないですが耐薬品性、電気絶縁性、耐食性、断熱性など用途により様々な樹脂があるのが特徴的です。

ネジの長さ・太さの選び方

工事などで広く使われている木材ですが、木材のどの位置で固定するのがいいのか、あるいはネジの最適の長さはどのくらいなのか分からない方も多いと思います。したがって、木材加工を行う際のネジの長さと太さの基準をご紹介していきます。

ネジの長さ

締結する板の厚さの2倍以上、3倍以内が目安です。これより短いと圧力がかかったときに外れてしまうことがあるので気をつけましょう。

ネジの太さ

板の厚みの3分の1以下が望ましいです。太ければ太いほど頑丈に固定されますが、太すぎると木材が割れてしまうことがあるので注意しましょう。

ネジの形状の違い

ネジ選びで最も苦戦してしまうのが、その形状の種類の多さです。しかし、それぞれのネジには理にかなった用途があるので正しくネジを使うのが重要になってきます。今から各分類におけるネジの種類をご紹介したいと思います。

頭部の形状による分類

ネジの頭部の形状には用途によって様々な種類があり、表面を平らにしたいときや、逆にデザインとして丸みを持たせるときなどで使うネジを変えていきます。

丸皿型

皿の上面が丸みを帯びた形状をしています。デザインとして使われているものが多く、ドアノブや手すりなどに使われています。

皿型

皿の上面が平らになっている形状となっています。これによって、ネジを取り付けたときに出っ張りをなくすことができるので、扉のちょうつがいや窓のサッシなどに多く用いられています。

ナベ型

頭部がナベのような丸みを帯びている形状をしています。小ネジの中では比較的安価で手に入れることができるので、現在最も多く使われています。自転車のねじやパソコンのケースといったように特に表面を平らにする必要がない場合に多く用いられています。

トラス型

頭部が球体を切り取ったような形状をしています。他よりも頭部の外径が大きいので緩み止めに最適です。また、丸皿と同様に見た目が綺麗なので、飾りとして使われることが多く、その際は回りの材質にあわせてめっきをする場合もあります。

バインド型

頭部が丸みのある台形状になっています。ナベ型とトラス型の中間の形というイメージが強いので、幅広く使うことができます。

ラッパ型

頭部が皿型に似ていますが、頭部とネジ部の境界が緩やかなカーブ状になっており、ラッパの口ような形であることからこの名前で呼ばれています。ラッパ型では木材やプラスターボードのようにやわらかい素材でできているものを固定する際によく用いられます。

フレキ型

頭部の座面にリブと呼ばれる突起物が付いているタイプで、ケイカル板のような硬い材料を固定させる際によく用いられます。ラッパ型よりも沈み込みやすいので、プラスターボードのような比較的柔らかいものに使用してしまうと突き抜けてしまうことがあるのでご注意ください。

ネジ山の長さによる分類

ねじ山の形状、によっても様々な分類がされています。

全ネジ

ネジの先端から頭部まで全てネジ切り加工が行われており、主に木材表面にフックを取り付ける際に用いられます。しかし、ネジの先端部と頭部で切削面積が異なるため、頭部と締結している木材が上に引き上げられることによって隙間が生じることがあります。その際は、接合部分をクランプなどで固定してあげるとよいでしょう。

半ネジ

先端から中心あたりまでしかネジ切り加工が行われていないので、全ネジのような隙間を生じることなく木材同士を密着させることができます。

ネジ先端部の形状による分類

ドリルネジ

ネジの先端部分がドリル状になっているネジ。このドリル部分にはネジ穴を開ける役割が備わっており、わざわざネジ穴を開ける必要がありません。作業の効率化に役立ちます。

木ネジ

木ネジとは木材に使うネジ全般を指し、様々な長さや形状があるのが特徴です。

コーススレッド

木ネジの一種で、室内の内装工事などで最も頻繁に使われる汎用性の高いネジです。ネジの先端が鋭く尖っており、ネジ山の感覚も広いため下穴を開けずに電動ドライバーで簡単に早く締め込むことができます。コーススレッドは安価で使いやすいため、DIYから内装工事まで幅広く用いられます。

フレキ付きコーススレッド

頭部がフレキ型のコーススレッド。材料への食い込みが良く、床にベニヤを貼り付ける場合などネジの頭部が飛び出してはまずい箇所に使用します。
他にも、

ステンレスコーススレッド

ステンレス製、水回りなどサビが起こりやすい箇所に用いられます。ネジがさびてくるとクロスを上から貼っていてもサビが浮き出るので要注意です。またサビによる保持力の低下も防ぎます。

スレンダースレッド

通常のコーススレッドは下穴なしで締め込むため、木材によっては割れてしまうことがあります。そのような事態を防ぐために、このタイプは通常よりも外径が細く設計されているため、木材が割れにくくなっています。

石膏ボードビス

石膏ボードを固定する際に用いられます。頭部の表面がざらついており、クロスパテが密着しやすくなっています。

タッピングネジ

雌ネジのネジ切り加工に用いられる「タップ」の機能を備えたネジ。そのため、ネジ切り加工の必要がなく、下穴にそのまま締め込むことができます。このタッピングネジは一般的に汎用性が高く、木材だけでなく、金属板など幅広く用いられます。

材質:鉄、ステンレス
頭部:皿、ナベ、トラスなど各種あり

その他内装でよく用いられるもの

軽天ビス

軽天材と呼ばれる厚みが1mm以下の薄い鉄板を締結する際に用いられます。この軽天材は石膏ボードの下地として使われることが多く、保持力を上げるために「二条ネジ」と呼ばれるネジ山が二重になっているのが特徴的です。

カールプラグ

通常、コンクリートにネジを締めこむには下穴を開け、このカールプラグと呼ばれるコンクリートプラグを差し込む必要があります。これによって、ネジの保持力を高めることができます。

ノープラグビス

予めコンクリートに下穴を開けるだけで締め込むことができるビスです。また、ネジ山が特殊な形状になっており、コンクリートに食いつくように設計されています。

ボードアンカー

石膏ボードにビスを効かせて保持力を上げるために用いられます。このように壁の厚さや形状によっていくつか種類があり、用途に合わせて使い分けられます。

まとめ

ネジだけでも材質や大きさ、形状によって様々な種類がありますので、まず自分がどのような用途で使うのかを考え、最適なネジを決めた上でホームセンターなどに買いに行くのがよいでしょう。

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