水栓の種類と見分け方を解説していきます。水栓は用途によっていくつかの種類に分けられます。それぞれ取り付け方法や必要な工具が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
水栓は金具と取付箇所によって分類されます。
まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
各タイプの特徴
単水栓
水もしくはお湯の一方だけが出る水栓。いわゆる「蛇口」はこれを指します。
ハンドルを締めている時は、スピンドルがコマを弁座に押しつけて穴をふさいでいます。ハンドルを緩めるとスピンドルが上がり、水圧によってコマの隙間から水が出てきます。
コマのパッキンの劣化や弁座部分の老朽化などが水漏れの原因となります。横水型は金具が固定されており、水が下向きにしか出ないタイプ。立水型は蛇口を回転させることで、上向きに吐水することができるタイプ。自在型は蛇口を横(水平)に動かすことができるタイプです。
混合栓
ひとつの蛇口からお湯と水の両方を出すことができる水栓です。
基本的な吐水の仕組みは単水栓と同じです。
構造によって温度の調節方法が異なります。
ツーバルブ(2ハンドル)型は、2つのハンドルによってお湯と水の混合量を調節するタイプ。
シングル(1レバー)型は、ひとつのレバーハンドルで吐水量および温度を調節できるタイプ。
カートリッジが内蔵されており、パッキンやコマの代わりにレバーハンドルと連動したカートリッジによって吐水が調節できます。サーモスタット型は内蔵のカートリッジによって温度を自動調節するタイプ。温調ハンドルで設定することで温度を一定に保つことが出来ます。吐水の調節は切替ハンドルによって行います。
壁付け
壁に直接水栓を取付けるタイプ。単水栓の場合はひとつ穴、混合栓の場合はふたつ穴になります。
台付け
洗面台やキッチンなど、台の上に設置する水栓。台に取付ける際に使用する穴の数によってワンホール型とツーホール型に分けられます。ワンホール型ではお湯と水の配管ホースがひとつの穴を通るタイプで、ツーホール型はそれぞれ分かれた穴を通ります。
水栓の種類
水栓はさらに細かく特徴分けされます。
一般的な家庭でみられる主な水栓タイプをまとめました。
単水栓
単口水栓
- 機能 1つのハンドル操作で、1つの吐水口 から湯または水を吐水する水栓。
- 名称 万能ホーム水栓・自在水栓(壁面)、立水栓・立形自在水栓(台(器))
二口水栓
- 機能 元ねじ(取付ねじ)部1箇所に対し、 吐水口が2つあり、それぞれ独立した ハンドルの開閉で止水・吐水ができる 水栓。
- 代表的な名称 二口万能ホーム水栓・ 二口自在水栓(壁面・水栓柱)、二口立水栓(台(器))
止水栓
[機能] 給水管の途中に設置する水栓。
[代表的な名称] アングル形止水栓(壁面)、ストレート形止水栓(台(床))
混合水栓
2ハンドル
- 機能 湯と水の2つのハンドルで混合する水 栓。
- 代表的な名称 2バルブ混合栓(壁面)、洗面混合栓(台(器))
シングルレバー
- 機能 レバーハンドル1本の操作で水量や 水温が調節できる水栓。
- 代表的な名称 シングルレバー混合栓(壁面)、台付シングルレバー混合栓・ワンホ ール混合栓(台(器))
レバーハンドルで簡単に出し止めできるため、厨房・介護施設に適しています。
サーモスタット
- 機能 湯温を自動的に一定に保つ機能を有している水栓。
- 代表的な名称 サーモバス・シャワー混合栓(浴室壁面)、デッキタイプサーモ混合栓(浴槽の縁・カウンター)
ボールタップ
- 機能 タンクに給水し、浮玉の浮力によって 自動的に給水を停止する水栓。
- 代表的な名称 ロータンク用ボールタップ(トイレのタンク)
水栓金具のサイズと心芯
水栓金具にはいくつかのサイズがあるので必ず確認します。水栓金具のサイズは、取付けねじの内径の大きさで呼びます。
現在、日本の家庭で使われているほとんどが呼び径13のものです。呼び径20は井戸や川などからポンプで水を汲み上げる際に、呼び径25は水を多量に使用する工場等で使われています。
また取り付け穴が2つある場合には、機種によって間隔が異なるので注意が必要です。
取り付け穴の間隔を取り付けピッチ(心芯)と呼びます。
心芯は2つの穴の中心の距離を指します。これはハンドルの間隔とも一致しますので、取り外さずに確認することができます。
ただし一部の機種(KVK KF205等)ではハンドル間隔と心芯が異なる場合があるので注意してください。
各所の代表的な水栓
水栓を交換する場合は本体についている品番ラベルからメーカーに取り換え可能機種を問い合わせるのが確実ですが、以下の構造知識を知っているとカタログで選定できるようになります。
心芯が一致していれば、既存のものと違うメーカーのもので選んでも問題ありません。
キッチン
台付け1つ穴タイプ(KVK KM556DG)
キッチンシンクに専用の取付金具を付け固定するタイプです。
昔のものだと、シンク下からボルトで固定するタイプが多いです。
シングルレバータイプの混合栓レバーの上げ下ろしで吐止水ができるので便利です。
浄水器内蔵のものやハンドシャワー機能がついたものなどバリエーションモデルもあります。
台付け2穴タイプ(KVK KM8G)
台から2つのねじが出ており、シンク下からナットで二箇所固定するタイプ
キッチンの2穴タイプは心芯203mm+-2mmのもの1種類のみです。
シングルレバータイプと2ハンドルタイプがあります。
浄水器内蔵のものやハンドシャワー機能がついたものなどバリエーションモデルもあります。
2ハンドルタイプを本体交換せずにシングルレバータイプにリフォームできるモデルもあります。(KVK KM5006T)
壁付け(KVK KM5000HA)
壁面の給水・給湯管のねじにねじ込んで取り付けタイプ
心芯120~220まで対応します。
シングルレバータイプと2ハンドルタイプがあります。
浄水器内臓のものやハンドシャワー機能がついたものなどバリエーションモデルもあります。
浴室
壁付けシャワー水栓(KVK KF270)
心芯120~220まで対応します。
サーモスタットタイプ、2ハンドルタイプがあります。
台付け(浴槽に付くタイプ)(KVK KF207)
浴槽に2つの穴空いており下からボルトで固定するタイプです。
心芯が一般的に85mm(KVK KF207)、100~102mm(KVK KF12E)、120mm(TOTO TMS27C)の3種類があり現調時注意が必要です。
洗濯機
壁付け(ほとんどが壁付けタイプ)
一昔前は単水栓がメインでした。
現在は、万が一洗濯機ホースが外れても水が自動で止まる機能がついており、ホースもワンタッチで取り付けられるものが主流です。
お湯が使用できるサーモスタットタイプ、2ハンドルタイプもあります。
洗面
混合水栓とシャンプー水栓に分かれます。
台付け1つ穴混合水栓
こちらはシングルレバータイプです。
台付け2つ穴混合水栓
シングルレバータイプ(TOTO TLHG30ER)と2ハンドルタイプ(KVK KM66)があります。
メーカーにより心芯が異なるため要注意です。102mm(KVK)120mm(TOTO)
シャンプー水栓
台付け2穴シングルレバータイプが一般的です。
まとめ
今回は水栓の種類をご紹介しました。
以上の基本的な知識があれば、カタログで選定できるようになります。メーカーに問い合わせる手間がなくなるので、ぜひご活用ください。
次回は水栓交換方法についてまとめたいと思います。

